<高校野球・春季岩手・一関地区大会:一関高専0-10一関学院>◇10日◇花泉総合運動公園野球場◇1回戦

 今春センバツ後初公式戦の一関学院が、5回コールドの10-0で一関高専に圧勝した。昨年、大船渡工から転入し今年4月から公式戦出場可能になった4番川原翔太一塁手(3年)が、4回に右翼へソロ本塁打を放った。公式戦初出場初安打が自らを祝う1発。また11日の母の日を前に、離れて暮らす母へのプレゼントにもなった。

 センバツには出場できなかった「陰の大砲」が、表舞台でいきなりの1発だ。「緊張した」と第1、2打席は四球、三振。快音が聞かれないまま迎えた4回の第3打席だ。外角高めの直球を振り抜いた川原の打球は、右翼フェンスを越えた。初安打が本塁打となり「うれしい。球種は忘れた」と興奮して話した。

 守備力重視の希望枠でセンバツに出場し、1-4で東洋大姫路(兵庫)に敗れた同校にとって、貴重な大砲だ。本来、4番は主将の佐々木一真二塁手(3年)が務めるが、2月に痛めたヒザの回復が十分でないため、川原が4月以降4番を務めてきた。沼田尚志監督(48)は「ヒザが治れば一真が4番だが(川原を)5、6番に置けばもっと点が取れる」と期待を寄せる。

 昨年4月に大船渡工から転入したため、川原は規定で1年間試合出場できなかった。センバツはスタンドで応援。「全国の投手と対戦したかった」と本音をもらす。だが4月の練習試合から起用されると、うっぷんを晴らすように18戦5本塁打。結果は十分だった。

 離れて暮らす母への、恩返しの一打でもあった。実家の大船渡市を離れた川原は、約70キロ離れた一関市内の寮に住む。強い学校で野球をしたい-と転校を決意した川原に、母は「半端な気持ちでやらず、最後まで全力を尽くしてきなさい」と激励したという。

 その言葉を胸に「試合で活躍するんだ」(川原)という強い気持ちで雌伏の1年を過ごした。沼田監督も「学校も練習も休むことがない」とたたえる。母の日を前にプレゼントの1発。川原は「これから電話したい」と、88キロの巨体をうれしそうにゆすった。【清水智彦】