<山形大会:東海大山形11-1鶴岡南>◇14日◇2回戦

 東海大山形のプロ注目右腕・赤間謙(3年)が、初戦となる鶴岡南戦に先発。5回を2安打1失点に抑え、無難なスタートを切った。直球にブレーキの利いた110キロ台のチェンジアップを織り交ぜ、9奪三振。鶴岡南打線に的を絞らせなかった。試合は11-1の5回コールドで快勝。13年ぶりの夏制覇に弾みをつけた。

 プレーボールの余韻が冷めやらぬ先頭打者への2球目。スコアボードには、この日最速の142キロが表示された。ただし、押しの一辺倒ではない。赤間はスライダーとチェンジアップも効果的に織り交ぜ、鶴岡南打線を手玉に取った。「まだ全力ではありません。今日は楽しくできました」。試合後は余裕の笑顔だ。

 1年の歳月が、赤間を山形屈指の好投手に成長させた。昨夏準々決勝の日大山形戦は、先発で4回に3失点し途中降板。今年はその経験を生かし、序盤から力でねじ伏せる投球から、9回を130キロ台後半で投げきるスタイルに変えた。武田宅矢監督(30)も「今日は抜いた球のコントロールが良かった。低めに行けば打たれない」と満足げだ。

 ある日の冬の練習も、自信の裏付けになった。武田監督が東海大五(福岡)時代に体験した「耐寒行進」をヒントに、深夜0時から朝6時半までの室内練習を敢行。明け方には雪の中でのダッシュもした。赤間も「精神的にも強くなったし、スタミナも付いた」と振り返る。

 そんなプロ注目右腕に、指揮官も13年ぶり7回目の夢を託す。「赤間と心中したいと思います」。全幅の信頼が、武田監督の言葉に込められていた。