第81回選抜高校野球大会(3月21日から12日間、甲子園)の出場校32校が23日、発表され、慶応(神奈川)が選出された。3季連続出場の慶応はエース白村(はくむら)明弘(2年)が進学校では異例の直接プロ入りする可能性が浮上した。

 昨秋日本一に輝いた慶応は、余裕の表情でその時を待っていた。当落線上だった早実とは違う。一報を聞くと、淡々とナインが集まり、狂喜乱舞することなく記念撮影に納まった。もう常連といえる3季連続の出場。最速146キロのエース白村は「まずは1勝」と冷静に目標を語った。

 早実とは96年から毎年定期戦を行ってきた。早大斎藤に15三振を喫したこともある。白村は1年時に登板し、3回7失点を喫した。「ピッチャーをやっていて、あんなに点を取られたのは初めて。昔の自分とは違うところを見せたい。初戦で当たれば、初戦突破という目標と重なるし、初戦で当たりたい」と願う。抽選方法は3月3日の運営委員会で決定する。近県同士の初戦対決は微妙だが、史上初の「早慶戦」に思いをはせた。

 進学率100%の同校では超異例の直接プロ入りを視野に入れる。上田誠監督(51)は「今の段階では、選択肢の1つ。スカウトの方からの連絡も、例年とは全然量が違う」と話す。安定した慶大進学と決めたわけではない。岐阜県出身の白村は、両親に楽をさせたいという思いもある。すでにスカウト陣の間では「直接プロの可能性もある」との情報が回る。結論はまだ先だが、すでに10球団以上が興味を示している。

 昨秋の神宮大会は腰痛の影響で決勝の天理戦だけの登板だった。今月中旬から投球練習を再開し、カーブ、スライダーに加えてチェンジアップの習得に乗り出した。体重は5キロ増の77キロになり力は増した。「世代最強が目標です」。力道山の孫、先輩田村の闘魂ピッチングが目標。秋に続く連続日本一を本気で取りにいく。【前田祐輔】