<高校野球・春季東北大会:盛岡大付6-0八戸西>◇8日◇準決勝◇福島市・県営あづま球場

 盛岡大付(岩手)は145キロ右腕、金沢龍佑(3年)が6安打完封で八戸西(青森)を6-0で下し、初の決勝進出を果たした。

 勝利の瞬間、金沢はガッツポーズも笑顔もなくマウンドを降りた。打たせて取る投球で6安打完封。だが「気持ちを表には出しません」と冷静さを保った。関口清治監督(32)は「代えないつもりだった」と全幅の信頼を寄せていた。

 昨夏、甲子園初戦の駒大岩見沢(北海道)戦で、2番手として登板し1回4安打3失点と、苦い経験をした。全国で勝つため、昨秋からフォーム改造に着手。早大・斎藤佑樹投手(21)ばりのフォームで制球力がつき、球速は2キロアップし145キロになった。

 因縁対決でもあった。八戸西エース向祐貴(3年)とは、中2時に東北大会決勝で対戦し0-1で敗戦。リベンジを果たし「当時の方が良かった」と話す。マウンドで感情をあらわにする向について「あれではチームは引っ張れない」と強気の辛口評。今大会から背番号1を伊東昂大(3年)に譲ったが、エースの風格は十分だ。

 チームは試合後「7点目を取れなかった」という理由で素振りを行った。花巻東・菊池役の部員が「雄星の150キロ、内角いくぞ」とシャドーピッチングをすると、一斉にスイング。気勢を上げた。9日、東北大会初優勝を成し遂げ、2年連続甲子園出場へ弾みをつける。【三須一紀】