雄星だけじゃない、岩手に来年の隠れドラフト候補生がいた!

 今年の高校球界は、西武からドラフト1位指名された花巻東・菊池雄星投手(3年)に沸いたが、その岩手に剛腕2年生がいる。伊保内(いぼない)の風張(かざはり)蓮投手だ。147キロの直球とカーブを武器にする本格派右腕に、中日やソフトバンクが注目し視察に訪れているという。風張も「プロに行きたい」と夢を膨らませている。

 人口約6500人の九戸村で生まれ育った風張に、熱視線が注がれようとしている。風張は今年の春と夏に、夏県準Vの盛岡一と県大会で対戦し、春は14回2/3で15三振(2失点)、夏も9三振(3失点)と好投。秋の県大会1回戦も花巻南から17三振を奪った。いずれも接戦で敗れたが、輝きを放ってきた。

 中学時代は軟式ながら最速138キロを記録。県選抜にも選ばれ、強豪校から勧誘された。だが風張は、気心知れた仲間たちとの甲子園出場しか考えず、誘いを断り、自宅から一番近い伊保内に進学。部員のほとんどが同じ九戸村出身で「地元から全国制覇したいんです」と、夢を目指している。

 岩手の先輩のプロ入りが刺激になっている。菊池とは面識はないが、知人を通じて気にかけてもらっていることを知った。「菊池さんはすごい人。注目してもらえるだけで、うれしいです」と風張。体が硬いため機会があれば、ストレッチ法を学びたいという。

 また二戸市出身で、ソフトバンク3位指名の光星学院・下沖勇樹投手(3年)とは、風張が中2の時に投げ合い、1―3で敗れた。「初めて自分より速い球を投げてきた相手です」。その2人はプロの世界に挑む。「いつかは岩手出身対決をやってみたい。まずは、もっと球速を上げないと…」と、さらなる成長を遂げてから、プロのマウンドで先輩に挑戦するつもりだ。【湯浅知彦】