センバツ高校野球(23日開幕)に出場する静清(静岡)のエース野村亮介(2年)が、市尼崎との練習試合で今年初めて9回完投した。前日の愛知・享栄戦に続く敵地で2日連続の先発。初回に4連打を含む5安打で3点を許す立ち上がりとなったが、尻上がりに球威を増し2回以降は得点を与えなかった。試合は2-3で敗れたが、ネット裏に訪れた阪神スカウトの前で、143球を投げきり完投を体に覚え込ませた。

 珍しく野村がマウンド上でたじろいだ。先頭打者にいきなり左前安打を許し、2死二塁で迎えた4番打者から4連打を浴びた。3点を与え先手を取られた。野村は「公式戦とは違う感じで入ってしまった。初回に気持ちを切り替えようとしてもダメだった」。甲子園出場経験のある強豪校相手だからではない。自身の精神面を要因に挙げた。

 それでも2回以降は毎回1安打以内に抑えた。連打を許さず要所を抑える好投。一方で、ストライクゾーンが広めになるとされている甲子園を想定した制球練習をしていただけに、ボール判定の直後に打たれる場面もあった。野村は「投げにくさは感じるが試合中に対応できるようにしたい」と、審判によってくせのある、ストライクゾーンに素早くなじんでいく必要性を感じていた。

 チームは2回以降反撃に出たが、今春初黒星。野村は「投げて負けるのは嫌だ。投げるからには勝ちたい」と課題と手応えを得て静岡に戻った。【栗田成芳】