<全国高校野球選手権:光星学院6-5徳島商>◇15日◇3回戦

 光星学院(青森)が、エースの力投で8強入りを決めた。4回から登板した秋田教良投手が、6イニングを3安打無失点。3回5失点で降板した先発の川上竜平投手(いずれも3年)の後を受け、1点のリードを守りきった。光星学院は夏通算10勝目。青森県勢の8強入りは、03年の同校以来8年ぶりとなった。

 背番号1のプライドで、聖地の空気を変えた。3回に右翼沢が打球を後逸し、1点差に迫られた。重苦しくなっていた雰囲気の4回、先発川上の後を受けたエース秋田がマウンドへ。先頭打者を3球三振に切って取り、3者凡退で危なげなく締める。「(チームの)リズムが良くなかったけど、良い感じで(試合に)入れた。いつも通りに準備してたんで」。真っ赤に日焼けした顔は、充実感に包まれていた。

 3回までに6点を奪った打線は、4回以降沈黙した。1点もやれない状況でも、秋田は動じなかった。7回1死一、三塁。4番佐藤を直球2つで簡単に追い込み、最後は外角のカットボールで空振り三振に切って取る。「真っすぐ2つでいけると思った」と堂々と腕を振った。

 青森大会後、投球フォームにメスを入れた。金沢成奉総監督(44)から「左足を高く上げるほど、力もこもったいいボールがいっていた。でも最近は高く上げることで、球も高くなっていた」というアドバイスを受け、胸のあたりまで上げていた左足を、ベルトの高さに抑えた。仲井宗基監督(41)の「低めに投げろ」の指示を受け、秋田は徹底して膝元を突いた。川上の高めを狙った徳島商打線を、3安打無四球でねじ伏せた。

 センバツ後に味わった苦杯が、この日の好リリーフにつながった。5月の春季青森県大会準々決勝で八戸に敗れた(2-5)。2-3の8回2死満塁で登板した秋田は、さらに2点を失った。逆転への望みをつなげず「メンタルがまだまだ弱い」と失投を反省。試合後、帽子のつばに「負けてたまるか。俺に任せろ」と書き込んだ。「何で自分じゃないのかという気持ちもある」と先発への欲もあるが、春の悔しさを思い出して目の前の仕事に徹する。

 2回戦では、センバツ時を4キロ更新する148キロをマークし、調子も良い。同校の最高成績は00年の4強。秋田は「まず、そこまで行きたい。もっと上にいって良いプレーを見せたい」と、準々決勝以降での先発を、虎視眈々(たんたん)と狙っている。【今井恵太】