九州から自信を持ってイチオシするのは、今秋ドラフト1位候補148キロ左腕の東福岡・森雄大(3年)だ。その注目度は、甲子園で上位進出した選手をもしのぐ。プロ12球団のスカウトが試合や練習を視察に訪れ、高校野球雑誌の表紙も飾った。周囲の熱い視線は「甲子園どころか、県大会1回戦負けの投手ですよ」と、葛谷修監督(54)が驚くほどだ。

 184センチと体格にも恵まれ、早くもドラフト1位候補に挙がっている。低めにグンと伸びる直球に加えカーブ、スライダー、チェンジアップと変化球の制球力も抜群。ソフトバンク福山スカウトが「球速、球質、どれを取っても高校生レベルから抜けています。今までああいう左投手は見たことがない。素材はセンバツで『ビッグ3』と言われた3人にも劣らないと思います」と証言するなど、各球団のスカウト評は高い。

 注目度抜群の左腕だが、背番号は意外にも昨夏と同じ11。1番は、4月に「福岡市長杯」でチームを優勝に導いた野原聡太投手(3年)に譲った。秋の県大会では初戦でプロ注目の左腕福岡工大城東の笠原大芽(3年)に投げ負け、春の県大会も初戦敗退。「それから考えが変わって、自分の記録や目標は考えなくなりました。夏も個人的な目標はありません」。勝利だけにこだわるようになり、背番号にも頓着していない。「1でも11でも勝てればいいです」と頼もしい。

 葛谷監督は「エースナンバーが欲しければ、甲子園に行って自分の力で勝ち取れ」と森に言ったという。ダルビッシュと同じ番号を背負う左腕がどんな投球を見せてくれるか楽しみだ。【九州担当・前田泰子】