<高校野球熊本大会:九州学院9-0八代南・八代清流>◇9日◇2回戦◇藤崎台

 4度目の甲子園へ、無安打15K!

 熊本大会1回戦で九州学院のエース大塚尚仁(3年)が、八代南・八代清流を相手に7回参考ながら無安打無得点試合を達成した。いきなり9者連続三振を奪うなど15奪三振で、出した走者は振り逃げと死球の2人だけ。今春センバツ優勝の大阪桐蔭への雪辱を胸に秘めた最後の夏を好発進した。

 高校最後の夏をド派手な奪三振ショーで幕開けした。力強いストレートを軸に、打者に間を与えずポンポンと投げ込んでいく。1回に振り逃げもあって、4三振の珍記録で発進すると、3回まで打者9人を三振で斬った。「真っすぐがよかった」と大塚。球速は130キロ台後半だったが、坂井宏安監督(55)も「球速より球威があった」とエースの成長に目を細めた。

 出した走者は振り逃げと死球の2人だけ。7回参考ながら「初めて」という無安打無得点試合を達成した。奪三振も15と量産。スライダー、チェンジアップと変化球が武器の技巧派だったが、最後の夏は脱却を図る。今春センバツの「魔の1球」から変身に取り組んできた。

 2回戦で優勝した大阪桐蔭と対戦した。2点リードの6回2死一、二塁で笠松悠哉三塁手(2年)に、カウント2-2から自信の内角球がボール判定。続く球を逆転3ランされた。「疲れもあって上体だけになっていた」。センバツ後は下半身強化を徹底。大塚いわく「バスのより大きい」タイヤ引きダッシュを1日15~20本。「メシもたくさん食べました」と体重は4キロ増えた。坂井監督も「下半身に粘りが出てきた。センバツであれだけの経験をしたから」という。

 「打たせて取る」から意識も変わった。「三振を取りたい気持ちはあります。(9連続三振の)あとから狙っていったら、コントロールが思うようにいかなかった」と15三振でも悔やむ。そんなエースに坂井監督も「(今夏は)全部大塚でいきます」と宣言。大阪桐蔭に借りを返すまで、投げまくって力をつけていく。【実藤健一】

 ◆大塚の甲子園成績

 1年夏は東海大相模との準々決勝に2番手で登板。2回を投げ、2安打2失点だった。2年春は1回戦で国学院久我山に7失点ながら、完投勝利。2回戦も完投したが、履正社に8失点で敗れた。今春センバツは1回戦で女満別を完封。無四球10奪三振の快投だった。2回戦で大阪桐蔭に2本塁打を浴びて散った。