<高校野球山形大会:酒田南5-0山形中央>24日◇準決勝◇荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた

 酒田南は山形中央を退け、3年ぶり12度目の決勝進出を決めた。最速145キロの右腕エース会田隆一郎(3年)が7安打完封。5番打者でも2安打2打点の活躍で、悲願の甲子園出場に王手をかけた。

 最後の夏に、酒田南の会田が甲子園への執念をむき出しにした。最終回、打者3人で仕留めた会田は「うれしくて大声を出してしまいました」と笑顔を見せた。

 7安打は許したが、要所を締めた。最速138キロと抑え気味にして、大会前まで封印してきた120キロ前後のスライダーを効果的に使った。「すべての変化球を使って抑えろ」。試合前の阿彦祐幸監督(40)の指示通りに、速球へのこだわりを捨て、変化球を決め球にして8三振も奪った。

 1年春からエース番号を背負い、同学年の下妻貴寛主将と主戦バッテリーを組んできた。だが周囲の期待がプレッシャーになり、制球難に苦しみ続けた。メンタルケアも受け、一時は横手投げに転向。昨夏前の遠征では6球での交代も味わい、母幸子さんに「野球をやめたい」と告げたこともあった。

 長いトンネルは、ひょんなきっかけで抜けた。春の県大会後の実戦練習で前監督の西原忠善総監督(49)から「最後だぞ、思い切り投げろ」とゲキを飛ばされて開眼した。この日は5番打者としても5回に2点三塁打を放ち、波に乗った。決勝の相手の日大山形とは優勝した01年以来11年ぶり3度目の決勝対決。過去2回は1勝1敗。会田は「エースなので自分が決めたい」と連投を誓った。【佐々木雄高】