<全国高校野球選手権:光星学院9-3東海大甲府>◇22日◇準決勝

 光星学院(青森)の4番北條史也内野手(3年)が、大会史上初の2打席連続バックスクリーン弾の離れ業をやってのけた。準決勝の東海大甲府(山梨)戦の1回に今大会3号2ラン、4回に4号ソロと連発。4本塁打のうち3本がバックスクリーン弾という規格外の打撃を披露した。85年にPL学園(大阪)の清原和博が打ち立てた大会本塁打記録にあと1本と迫り、甲子園通算打点では清原に並んだ。今日23日の決勝戦は、史上初となる大阪桐蔭との春夏連続対決。春の雪辱を果たし、東北勢初の頂点をつかみにいく。

 会心の当たりではなかった。それでも、聖地の最も深い場所に届いた。1回1死一塁。北條は高めに浮いたフォークの抜け球をこすり気味にミートした。背走する中堅手がフェンスにぶつかった直後、打球はその頭上を越えていった。

 北條

 上がりすぎたと思ったので、ビックリ。変化球で崩されて若干押し込まれたけど、フォロースルーで押し込めた。

 4回の第2打席には、外角直球を拾って再びバックスクリーンまで運んだ。スタンドのファンも夢膨らませた第3打席。「少し意識してしまった」と遊ゴロに倒れたが、2打席連続弾は、2回戦第5打席から3回戦第1打席に続いて今大会2度目。清原以来史上2人目の快挙で、そのうち3本がバックスクリーンへの特大弾だ。

 バットが背中に巻き付くような大きいフォロースルー。その原点は、PL学園時代の清原にあった。同年代の父映彦さん(46)は「アウトコースの打ち方とか、1発があるかっこよさが大好きで」と、息子に“英才教育”を施した。「清原みたいに後ろは小さく、前は大きくやぞ」。北條少年は、父の上げるトスを打ち、スイングの基礎を身につけた。「小さいころからフォローが大きいねと言われていた。父さんに言われて、今のスイングにたどりついた」。タイミングやミートポイントが少々ずれても、ボールをグッと押し込むことができる。

 先輩の金言も生きている。昨秋ドラフトで1位指名されたヤクルト川上からは、リストの重要性を説かれた。「差し込まれても、手首が強ければ持ってける」。肘を固定して、20キロのバーベルを手首だけで動かすメニューを30回×3セット。「腕がパンパンになる」が、昨夏から欠かさず行っている。4アーチ全てが、真ん中から外寄りの球。清原ばりのスイングと強靱(きょうじん)なリストが、飛距離を生み出している。

 昨春センバツから4季で積み上げた打点は、5季連続出場の清原の29に並んだ。本塁打数でも清原の大会記録「5」に王手をかけ、東北勢初の優勝も目の前だ。

 北條

 まずは、自分のスイングをしたい。東北初の優勝をしたい。

 今の北條には、2つの大記録を達成できる雰囲気が、十分すぎるほど漂っている。【今井恵太】

 ◆北條史也(ほうじょう・ふみや)1994年(平6)7月29日、堺市生まれ。小4の時、浜寺ボーイズで野球を始める。オール狭山ボーイズ時代は中学通算30本塁打。光星学院では1年春からベンチ入り。家族は両親と兄、弟、祖父母。右投げ右打ち。177センチ、75キロ。血液型O。