<全国高校野球選手権:大阪桐蔭4-0明徳義塾>◇22日◇準決勝

 大阪桐蔭が史上7校目の春夏連覇に王手をかけた。エース藤浪晋太郎(3年)が明徳義塾(高知)打線を2安打8三振に封じ、甲子園初完封。速球の制球に苦しみながらも、変化球をうまく織り交ぜ、決勝に向けて尻上がりに調子をあげてきた。光星学院(青森)は、北條史也内野手(3年)田村龍弘捕手(3年)の今大会2度目のアベック弾で東海大甲府(山梨)を圧倒。今日23日の決勝は、史上初の春夏同一カードとなった。

 藤浪の甲子園8勝目は、優勝したセンバツでなしえなかった完封で飾った。「結果的にゼロに抑えることが出来たのはよかったと思います」。前半は苦しんだ。直球は初回から150キロをマークするも、高めに浮いて思うところに決まらない。「下半身がうまく使えず、上体だけで投げていた」。以前なら修正は難しかった。

 今は引き出しがある。森も「変化球はエグイです」と伝えてきた。カットボール、カーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップでファウルを打たせ、空振りを奪った。「調子はストレートの走りだけで決まるものじゃない。高めに浮いた直球も振ってくれてラッキーでした」。味方が6回に3点を追加した直後、西谷浩一監督(42)に「1点差で勝ちきる投手になれよ」と声をかけられた。追加点を頭から消した。1-0の緊張を保ち、終盤も投げきった。

 忘れられない夏決勝の記憶がある。中学1年だった07年、佐賀北-広陵(広島)戦を、チームの先輩がいた広陵側のアルプス席で観戦した。広陵のエース野村祐輔(現広島)が相手打線をほんろうし、7回まで4-0と優勢。それが8回、1球のボールから流れが変わった。押し出し、満塁弾で佐賀北が逆転。バッテリーのそこまでの苦心がわずか1球で砕けたさまを、藤浪は目に焼き付けた。

 何があろうが流れは渡さない。決勝の相手は春と同じ光星学院に決まった。春は試合に勝ったが、田村に3安打、北條に2安打2打点。「ストレートを捉えられた。それを春から課題にしてきた。勝てれば何でもいい。1点差でも何でも。ホームランを打たれてもソロなら、痛いところじゃなければ」。最後の1球まで、全身全霊を込める。【堀まどか】

 ◆春夏同一カード

 大阪桐蔭-光星学院戦は史上初めて春夏連続の決勝戦同一カードとなった。決勝に限らない春夏同一カードの対戦は09年の花巻東-明豊戦まで過去37度あるが、春夏連勝が24度、雪辱が13度で返り討ちのケースが多い。