<明治神宮大会:仙台育英6-1天理>◇15日◇高校の部準々決勝◇神宮

 仙台育英(宮城)が近畿王者の天理(奈良)を倒し、4強入りした。エース右腕佐藤世那(2年)が、直球とフォークを軸に12三振を奪い、9回6安打1失点完投。打線も8安打6点とつながり、2年ぶりの神宮の頂点へ好発進した。

 仙台育英のエース佐藤世が神宮で三振ショーを演じた。奪った12三振のうち11個が空振り。右肩を大きく開くダイナミックなフォームから140キロ台の直球、緩急の差をつけた2種類のフォークを投げ分け、天理打線を1失点に抑えた。最初は投げづらいと思っていた神宮のマウンドも「終わってみれば投げやすかった。いい感覚で投げられた」と会心の表情で振り返った。

 15日は父慎一さんの48歳の誕生日。応援に駆けつけた慎一さんは「夏まではあいつが投げて負けていたけど、それが成長につながったのかな。いつもプレゼントはもらえないですが、今日は良かったです」と息子の好投を喜んだ。自宅と学校の片道約30分を車で送り迎えしてくれる父へ、最高の誕生日プレゼントを贈った。

 地区大会から東北大会までほぼ1人で投げ抜き、エースの風格が出てきた。2年前に神宮を制した時は鈴木、馬場の右腕2枚看板で勝ち上がったが、佐々木順一朗監督(55)は「1人の投手としてみればこっちの方がいい」と、佐藤世に信頼を置く。2年ぶり2度目の優勝へあと2つ。佐藤世は「今日みたいなピッチングをすれば負けることはない」と力強く言い切った。【高場泉穂】