<高校野球東東京大会:関東一9-5帝京>◇18日◇4回戦

 帝京最後の打者が左飛に倒れると、プロ注目の右腕高島祥平(3年)はしばらく動けなかった。試合後のあいさつには1番最後に列に加わった。重い足取り。ベンチに戻ると声を上げて号泣した。「自分の力で3連覇したかった」と話すのがやっとだった。

 先発は米持優一投手(3年)、エース高島に出番が来たのは3回、4点を奪われ逆転されたあとだった。今大会初のマウンド。「調子は良かった」と言うが、自己最速より4キロ遅い148キロ止まりで奪三振は2。3安打されて2点を失い、関東一の勢いを止めることはできなかった。

 前田三夫監督(59)はこの試合「打者高島」を優先した。3番・右翼手で先発起用、高島はその期待にはこたえた。1回の先制二塁打を含む4安打、1盗塁も決めた。「去年は投げないときは控えだったけど、常に試合で貢献したい」。全力でチームを引っ張った。しかし、あまりに失点が大きかった。

 高島にはわずか49球の短い夏になってしまった。1年生投手の鈴木昇太を見つけると「これからは、お前が(チームを)引っ張って行け」とあとを託した。自らの今後は両親らと相談してからだ。「プロでやりたいです」。その思いをポツリもらして、神宮をあとにした。【茶木哲】