<高校野球千葉大会>◇18日◇4回戦

 千葉英和が八千代松陰を2-1で下した。

 フラフラになりながらも、エースの意地だった。先発したプロ注目の左腕・小川龍也投手(3年)は八千代松陰を9回5安打9奪三振1失点に抑え、2試合連続の完投勝利で5回戦進出に導いた。

 最悪な体調を熱投で吹き飛ばした。12日に風邪をひき、前日17日は練習せずに自宅静養。この日も回復せず、ベンチ前で何度も咳きこんだ。「5回から、息が上がって力が入らなくなった」と、表情うつろだ。「投げた3試合の中で1番キツかったです。心理的に…」と疲れた表情で振り返るように、終盤に追いかけられる苦しい展開だった。8回裏に1点を奪われ、なお1死二塁。「ヤバイと思った」と焦るエースに、吉野潤内野手(3年)が声をかける。「次、打たれてもまだ同点だよ」。何げないひと言だったが、落ち着きを取り戻すことができた。後続を一邪飛、三振に打ち取ると、無意識に両手でガッツポーズをしていた。

 必死に投げた137球だった。試合のことは、ほとんど記憶に残ってない。「1番」の責任感が背中を支えた。伊藤修次監督(41)も「小川で負けたら仕方ない」と、絶大な信頼を置いている。次戦は昨夏東千葉大会優勝校の木更津総合だ。「自信?

 ありません。頑張るだけです」と笑顔を見せるエースが、今大会の台風の目になりつつある。