メジャーの公式戦も最終週に入り、地区優勝、プレーオフ進出を決めた各チームが、次々とシャンパンファイトを行っています。もっとも、ひとくちにシャンパンと言っても、ピンからキリまで種類があります。正確には、フランスのシャンパーニュ地方で製造されたものだけがシャンパンと限定され、その他の地方産のものはスパークリングワインと呼ばれています。

 1日に3年ぶりとなるポストシーズン進出を決めたヤンキースで、今回使用されたのは、カリフォルニア産の「シャンドン」(約2400円)。つまり、厳密に言えば「スパークリングワイン・ファイト」でした。

 というのも、これまで盟主ヤンキースのシャンパンファイトは、「優勝時のみ」とする主将ジーターの強い意向もあり、地区優勝以上に限られ、「2位以下」となるワイルドカード決定の際には行われませんでした。ところが、今回はジラルディ監督が「メジャーでプレーオフに進出できるのは10球団だけ。祝うべきだろう」と主張。優勝経験のない若い選手たちは大いにハシャいでいましたが、ベテランのAロッド、ベルトラン、ガードナーらは「セレモニー」として冒頭の数分間に参加した程度で、全体的には静かなものでした。

 ゴーグル姿で万全を期した田中にしても、「まだ本数少ないんで、全身ぬれてるかというと、ぬれてないです。意外とみんなかけないで、ウワッーって飲んでたりとかしてたんで。大丈夫です。全然」と、少しばかりイメージが違った様子でした。

 もっとも、今後、地区シリーズ、リーグチャンピオンシップ、さらにワールドシリーズと、ステージが進むに連れて、ボトルの質、本数とも着実に上がっていきます。最終的には、本場フランス産の「モエ・シャンドン」、「ブーブ」(いずれも1本4000円前後)クラスになる見込みで、このほか、世界最高級と言われるキューバ産の葉巻などが用意されるのも、メジャーならではです。

 世界一になれば、ベテランもスタッフも、大はしゃぎの大宴会となります。ポストシーズンでの大黒柱として期待される一方で、田中は「もっといいお酒を浴びられるように、頑張らないといけないですね。でも、ぜいたくですねえ」と、「本物」のシャンパンファイトを心待ちにしています。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)