米球界でオフシーズンの恒例行事でもある「ウインターミーティング」が、12月5日(日本時間6日)からスタートしました。「ミーティング」という英語を日本語に訳すと「会議」となってしまうため、何かと、机を挟んだ肩苦しい「大会議」のような印象を与えてしまいますが、実際にはかなり異なります。

 このウインターミーティングには、実にさまざまな野球関係者が集まります。コミッショナーをはじめ機構側のトップ、各球団の首脳陣、監督らが一同に介するのは当然ですが、それ以外にも代理人だけでなく、野球ビジネスに携わる数千人が、それぞれの思惑を持って会場に詰め掛けます。

 毎年、会場となるのは、巨大なリゾート系のホテル、またはコンベンションセンターを持つ施設です。というのも、国連のように全員が集い、議論を交わすような会議場ではなく、各球団はそれぞれ広いスイートルームを拠点に、他球団とのトレードや代理人との交渉を進めていきます。つまり、会場としては一同に介していながら、それらの動向は「公」にされることもなく、水面下で静かに進行します。多忙な球団のGMとなると、食事もほぼルームサービスのみ。ホテルのフロントでのチェックイン、チェックアウト以外は姿を見かけないほど、極めて多忙な日々を過ごすと言われています。

 その一方で、野球界で就職を求める人材のための「ジョブ・フェアー」や「ワークショップ」、野球に関する商品を展示、販売する「トレード・ショー」など、グラウンド以外でのビジネスフォーラムも、随時開催されています。スーツ姿の「就活生」もいれば、ラフなスタイルの代理人、新外国人をリサーチする日本球団関係者、さらに情報収集に躍起となる報道陣など…。実に、多様な人種、職種の人間が、会場中に散らばっているのが、ウインターミーティングです。

 ただ、期間中には、大物のFA移籍や大型トレードが成立するのが、ここ数年の恒例になっています。クリスマスをはじめ、年末年始のホリデーシーズンまでに、ある程度の「仕事納め」をしておきたいのは、米球界内でも同じこと。このミーティングを境に、一気に市場が動くのではないでしょうか。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)