ここのところ契約などの話題と合わせて発表が続いているのが有力選手の来年3月に開催されるWBCへの可否だ。日本野球機構(NPB)は20日、侍ジャパンのメンバー18人を先行発表という形で明らかにしたが、その中には現在MLBに所属している選手の名はなく、残り10人について「MLB所属選手を含めて選考中」としている。暫定ロースターにはアストロズの青木宣親外野手ら9人が登録されていたが、これは出場が確定したものではなかった。

 その後21日に、青木の参加決定がNPBから発表されている。日本人大リーガーの出場は2009年大会以来2大会ぶりとなり、朗報だといえよう。

 ただその他の日本人大リーガーについては厳しい状況が続いている。カブスと契約した上原浩治投手は21日に日本のテレビ番組で「すいません。断りました。球団の方には出場したい意志は伝えましたが、球団からなるべく出ないで欲しいと言われました」と出場しないことを自ら語っている。また、マリナーズの岩隈久志投手も「今はうまく言えないというか、その時がきたらそういう話もできればと思いますけど、分からないです」と言葉を濁したということだ。

 さらにテキサスの地元紙フォートワーステレグラム紙は14日付けでレンジャーズがダルビッシュ有投手と韓国籍の秋信守外野手、ベネゼエラ籍のエルビス・アンドレス遊撃手のWBC参加を認めない意向であることを伝えている。ただ一方で韓国系新聞コリアタイムズのアメリカ版は21日、秋信守がレンジャーズに対し、参加を認めるよう求める意向だとも報じた。

 またタイガースのビクター・マルチネス捕手がベネズエラ代表に加わることが発表されている。

 まさに各国で有力大リーガーの参加を巡り一進一退の攻防が繰り広げられているといった状況だ。これまでもお伝えしてきたようにアメリカではWBCはあくまでシーズン開幕前のイベントという意識があり、それは各チームも同じだ。レンジャーズの意向などは主力選手がWBCで負傷し、肝心のシーズンに影響を及ぼすリスクへの懸念が強く出たものだといえよう。対して特にアメリカ以外の国出身の選手はやはり母国代表への意識が強いようである。3月の大会に向けてしばらくはこの攻防が続きそうである。そしてこうしたやりとりが今後も続くことを願いたい。