ワールドシリーズ進出に向けた激しいリーグ優勝決定シリーズが展開されているなか、現地16日、野球専門誌ベースボール・アメリカはMLBが現行の30チームから32チームへと拡大する準備を整えていると報じ、注目されている。新たなチームの本拠地候補となっているのはカナダ・モントリオールとオレゴン州ポートランドの2都市。

 モントリオールは1969年から2004年までエキスポズが本拠としていたが、経営不振によって2005年にアメリカ・ワシントンに移転し、現在はナショナルズとなっている。そのモントリオールに再びMLBのチームを作ろうというのだ。記事ではエキスポズ移転の原因の一つになったダウンタウンに新たなボールパークを建設するための支援活動が行われていることが候補になった要因として挙げられている。

 一方のポートランドは太平洋岸北西部に位置し、都市圏としては230万人近くの人口を擁す同州最大の都市だ。しかしこれまでMLBのチームが本拠としたことはない。トリプルAのビーバーズが本拠にしていたものの、プロサッカーMLSのティンバース設立にあたってスタジアムがサッカー専用に改装されたこともあり2010年いっぱいでテキサス州エルパソに移転してしまった過去もあった。このためベースボールに熱心ではない都市というイメージが地元民、オレゴニアンたちにはあったようで、今回の新チーム設立報道に驚いた人も多かったようだ。

 しかしNBC Sports電子版の報道によれば、地元スポーツ関係者が「MLB誘致とポートランドでのスタジアム開発の運動に正式に参加している」と発言するなど、今回の本気度は高い模様だ。ベースボール・アメリカは成功しなかった2003年のエキスポズ誘致に承認されたスタジアム建設のための1億5000万ドルの助成金を今回も使用可能だとしている。また9月にはロブ・マンフレッドMLBコミッショナーがシアトルでポートランドが拡大チームの本拠となる可能性を指摘していた。

 このようにこの2都市でリーグ拡大が行われる確率は高そうだ。では32チームになるとどうなるか。ベースボール・アメリカは東、北、中西部、西の4地区に再編成になるだろうとしている。さらにその結果、レギュラーシーズンが156試合になり、地区内対戦では移動距離が減ることで選手たちへの負担が減らせることやプレーオフの方式も変更になるだろうとした。ただこうしたことはMLBとMLB選手会の合意も必要となる。

 大きな改革となるリーグ拡大の動きは今後も注目だ。