現地16日、悪天候による順延でダブルヘッダーとなったカブスとの第1試合に先発したヤンキース田中将大投手。8回を無失点、2安打1四球10奪三振という堂々たる内容で2勝目を挙げた。

 アメリカ各紙は電子版で早くもこの投球について報じた記事を掲載している。その見出しで、全国紙USAトゥデーとニューヨークの地元紙ニューヨーク・ポストが共に使っていたのが”dominate”という言葉だ。「支配する」「服従させる」「そびえ立つ」といった意味がある。USAトゥデーもニューヨーク・ポストも「マサヒロ・タナカが10奪三振の勝利でカブスを服従させる」といった見出しで、まさに最高級の賛辞を贈っているのだ。それに値するだけの活躍だったといえるだろう。

 さらに両記事の書き出しも興味深い。USAトゥデーは「寒く、短い休息、大きなボール。挑戦は問題になっていない、マサヒロ・タナカが日本からメジャーリーグにスムーズに移行できている大きな理由の一つは、彼のスプリット・フィンガード・ファストボールだ」としている。いわゆるスプリッターの存在が田中の武器として大きいことを挙げているのだ。と同時に、気候や登板間隔の短さなどについてまず触れていることで、3戦目にしてメジャーの環境でやっていけそうだ、といわば合格点を与えているのである。最初の2試合だけでは不十分と感じていたということであろう。

 一方でニューヨーク・ポストの書き出しは「マサヒロ・タナカは水曜、ブロンクスでのダブルヘッダー第1試合で3対0で勝利し、カブスを支配したことで、彼の早いイニングでのトラブルを終わらせることができた」となっている。過去2回の先発で早い回に失点し、その後持ち直した展開になったことで立ち上がりに不安があるのでは、という声が出ていたが、同紙にもその意識があったということだ。

 田中自身2試合目後の記者会見で「2試合だけで言われたくない」と語っていたとおり、色をつけるには早すぎる気がするが、とかくものごとを早く大きく表現しがちなニューヨークのメディアらしさがこんなところにも出たようである。そうした意識を払拭できたことはメディアに対してという面でも大きな収穫となった登板となったといえそうだ。

 今後田中が登板するたびにどんな言葉、表現が使われ、そこにはどんな背景があるか注目していきたい。