【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)=佐藤直子通信員】ジャイアンツ青木宣親外野手(33)が本拠地開幕戦となるロッキーズ戦の第1打席で中前打を放ち、地元ファンの前で堂々デビューを果たした。これで開幕戦から続く連続安打は8試合。第3打席にも技ありの一打を左翼へ運び、早くも今季5度目のマルチ安打とした。出塁率は4割7分4厘と5割に迫り、世界一連覇に向けて、新リードオフマンが大暴れする。

 名刺代わりには十分だった。地元サンフランシスコの歓声に後押しされて向かった第1打席。青木は外角ツーシームをとらえ、鮮やかにセンター前へはじき返した。「とにかく早く本拠地で安打が欲しかった」という目標を初戦であっさりとクリア。上々のスタートに成功した。

 加えて第3打席には、ストライクゾーンの外へ逃げるツーシームに、バットをうまく押しつけてレフト前へ。第2打席は四球を選び、チーム今季初の二盗を決めるなど、次々と得点機を演出した。キャンプ前には7番での下位起用もささやかれたが、ボウチー監督は「バットがとてもよく振れているし、きっちり仕事をしてくれる」と高評価。開幕からフル出場を続ける1番青木の開幕ダッシュに目を細めた。

 試合前に士気を高めていた。開幕と昨季の世界一を祝う優勝セレモニーに参加。ワールドシリーズでは敵軍のロイヤルズで苦杯をなめた。「なんでお前がここにいるんだって感じで、みんなゲラゲラ笑ってた」とバツが悪そうに笑う。まぶしく輝く10年、12年、14年と3つの優勝トロフィーを見て、あらためて覚悟を決めた。「これもいい思い出として、今年は取りたいですけどね、僕が」。

 レギュラーシーズンでは昨季から16試合連続安打となった。ブルワーズ時代の12年に記録した15試合を上回り、自己最長だ。「(昨季と)合算だから」と苦笑いしつつ「ずっと続けたい」と力を込めた。ジ軍は今季8試合を終えて借金3。ペンス、マギーと主力打者の故障もあり、4連敗中のチーム安打は22本と湿っている。この日も12残塁の零敗で、連覇には得点力アップが不可欠だ。

 目指すは「優勝」の2文字。「投手は基本的にずっといいので、打線が何とか奮起したい」。巻き返しを図るためにも、好調な青木の存在が大きなカギを握っている。

 ▼青木はロイヤルズ時代の昨年9月21日から16試合連続安打。年をまたいでいるが、ブルワーズ時代の12年6月から7月にかけてマークした渡米後自己最長の15試合連続を上回った。今季は開幕から8試合連続安打。日本人大リーガーの開幕からの連続試合安打では、06年松井秀(ヤンキース)と07年岩村(デビルレイズ)が記録した最長の9試合まであと1とした。