【マイアミ(米フロリダ州)=四竈衛】マーリンズ・イチロー外野手(41)が乗ってきた。ナショナルズ戦に「7番左翼」で臨み、4回に逆転のチャンスを広げる二塁内野安打。6回無死三塁では鮮やかな右前ライナーで走者をかえした。4打数2安打1打点。先発した6試合連続安打と今季初の2試合連続マルチで、打率を3割4厘まで上げた。

 プレーボール前からノっていた。前日に日米通算1968得点をマークし、王貞治氏の日本記録を更新。レドモンド監督の粋な計らいで、前夜踏んだホームプレートとスタメン表が贈呈された。「みんな集まってきたから何が始まるのかなと思ったら、僕のそれだった。みんなで写真を撮ってくれて感激しましたね」。

 過去にも盗塁の記録でベース、ゴールドグラブ、シルバースラッガー賞でグラブやバットと数多くの記念品を受け取ってきたが、グラウンドに埋め込まれた「本塁」は初めて。「それも王監督だからですよ。監督の偉大さが、あらためて分かった出来事ということ」。米球界でも「サダハル・オー」の名前を知らない選手はおそらくいない。そんなレジェンド超えを、サプライズで祝福してくれた心遣いがうれしかった。

 個人記録がチームのプラスに働くケースは多い。5連敗後の5連勝。投打がかみ合い、1週間前とは対照的な戦いぶりだ。「それなりの戦力だったら、それぞれがそれなりのことをすればゲームになる。それが野球ですから」。肌で感じるチームの一体感に、イチローも手応えを感じていた。

 ◆イチローが狙うレジェンド超え 現在米通算2858安打で歴代44位。歴代42位B・ルース(ヤンキース)まであと15本、歴代33位B・ボンズ(ジャイアンツ)まであと77本。日米合算では4136安打で、歴代2位T・カッブ(タイガーズ)まであと55本、歴代1位P・ローズ(レッズ)まであと120本。今季19試合で14安打とシーズン119本ペースできており、どの記録も射程圏内といえる。