ヤンキース田中将大投手(26)がレイズ戦に先発し、3試合ぶりとなるクオリティースタート(6回以上自責点3以内)の力投を見せた。最速96マイル(約154キロ)の速球を軸とする基本スタイルで6回6安打3失点。リードを許して交代したものの、ヤ軍は延長12回に逆転サヨナラ勝ちを収めるなど、完全復調につながる登板となった。

 初回の2失点で目が覚めた田中は、意図的にアクセルを踏んだ。2、3回と3者凡退。5回表無死三塁のピンチでは犠飛を許したものの、腕を振った外角速球は、自己最速タイの時速96マイル(約154キロ)を計測した。3失点の結果以上に、球威、スピードとも、田中本来の水準を取り戻していた。「数字だけ捉えれば、良くなかったと言われると思いますが、自分の中では手応えを感じてます。この2戦の内容とは大きく違うと思ってます」。

 過去2戦は、細かい制球、配球が折り合わず、2試合連続で自己ワーストの3被弾。それでも、言い訳ひとつせず、自分と向き合った。登板間は軸足に体重を乗せることを含め、左足の上げ方などフォームの微調整に専念した。ミーティングでは、捕手マキャンと自らの意向を再確認。「どういうピッチングがいいものをいい形で出せるのか。やっぱり真っすぐをしっかり投げられていないと、変化球も生きてこない」。原点回帰した結果、バットを押し込む球威が復活。フォーシーム、ツーシームの速球系が96球中50球(52%)と、投球の基本スタイルで勝負を挑んだ。

 リードされて交代したものの、打線が奮起し、延長の末、逆転サヨナラ勝ち。メジャー初の3連敗は免れた。ローテーション通りであれば、前半戦最終登板となる次回は9日(日本時間10日)のアスレチックス戦。「自分の中で手応えはあったので、次の登板が楽しみですね」。緊迫感が増す後半戦への基盤を固めるためにも、次回こそ白星を逃すつもりはない。【四竈衛】