【ジュピター(フロリダ州)17日(日本時間18日)=水次祥子】マーリンズ・イチロー外野手(43)が喧噪(けんそう)の中でメジャー17年目のキャンプを迎えた。キャンプ地フロリダ州ジュピターでこの日、サムソン球団社長が球団売却に向けての動きを初めて認めた。練習前にはロリア・オーナーが選手とミーティング。加速する身売り話に関心を示しながらも、ベテランは例年通りに緊張感ある初日を終えた。

 イチローが迎えた日米通算26度目のキャンプ初日、サムソン球団社長が球団売却騒動について言及した。「球団の身売りは多くのグループが興味を持ち、話を進めている」。複数の米メディアが報じてきたマーリンズ身売りへの動きを、初めて認めた。

 16億ドル(約1840億円)で基本合意されたといわれるマ軍買収については、トランプ大統領の娘婿でクシュナー大統領上級顧問の一族が関与を認めた。しかし、球団オーナーのロリア氏が米フランス大使の候補に挙がっているとの一部報道から、事実なら買収を見送ると発表。これを受け、サムソン社長は「ロリア・オーナーの駐フランス米大使就任は交渉過程にある」と明かした。AP通信によれば「クシュナー一族以外の候補から売却を検討している」という。

 イチローも身売りを気にしている様子で「サムソンですか。何と言っていたんですか」と報道陣に逆取材。球団社長の話の内容を伝え聞くと「ああ、そうですか。(売却は)積極的なんですね。ああ、そうですか」と繰り返した。マ軍に移籍して3年目。50歳まで現役を続けたいという希望に対し、経営陣から「いたいだけいてほしい」とラブコールを送られていた。だが経営陣が交代すれば、それも白紙に戻ることになるだろう。

 そんな雑音があるからなのか。ここ数年、キャンプ恒例だったおもしろTシャツをやめて、初日は白無地Tシャツで球場に入った。ただ、2日目は水色に黒字で「キュン」と書かれたTシャツ姿で登場。シーズンへ向けワクワクする心境を表現したものなのだろうか。今キャンプもさまざまなメッセージで楽しませてくれそうだ。43歳の現役最年長野手は平常心で、練習に集中した。