エンゼルス大谷翔平投手(24)が、メジャー1年目で10本塁打の大台に到達した。メジャーデビューからここまで18チームと対戦。メジャーの捕手たちは「打者大谷」をどう見たのか。初対戦の印象、打者としてのレベル、弱点、駆け引き…。彼らの証言から「背後から見た大谷」を探った。

 才能は野球殿堂入りクラス-。大谷に打たれ、大谷を抑えてきたメジャー捕手陣が、そう証言した。本拠地デビューから3連発など大谷フィーバーが始まって間もない頃、大谷にメジャー初三塁打を許したロイヤルズの捕手ビュテラが、背後から見た印象を語った。「スイングスピード、手の使い方、選球眼、どれもいい。背が高くて足が速くて、さらにパワーもある。才能でいえば、ケン・グリフィーJrのようだ」。マリナーズなどで活躍したレジェンドに例えて表現した。

 大谷は手足がスラリと長く、メジャー選手と比べても体格がいい。同捕手は「一番驚いたのは、リーチ(腕)が長い打者には基本的に内角を攻めるけど、彼は内角をさばける」と舌を巻く。同じくロイヤルズのギャラガーは「イチローにスイングが似ている。内角、外角への対応が同じ」と証言した。ケン・グリフィーJr、イチロー、両者ともメジャーを代表する強打者だ。

 弱点が見当たらないと頭を抱える捕手も多い。開幕直後は内角攻めが多く、4月27日にセベリーノから内角を本塁打して以降は外角が多くなった。ツインズの捕手ウィルソンは「弱点を見つけるのが難しい。単打はオッケー。トラウト、プホルスに対する考え方と同じだよ。それが、鍵だね」と言う。対戦では4打数1安打に抑えたが攻略に苦しみ、MVP2度のトラウト、通算631本塁打のプホルスと肩を並べるほどのプレッシャーを感じていた。

 後半戦が始まった直後は内角を攻められることが多かったが、この日は外角も内角も捉えて本塁打とした。苦手かと思えば、すぐに対応する。昨季世界一のアストロズのマキャン捕手には「バットコントロールがうまく見えるね。メジャーレベルで成功できる」と言わしめた。多くの捕手が口をそろえて言う「スペシャル・タレント」。メジャー10号と2連発で、それを証明した。【MLB担当=斎藤庸裕】

<敵捕手の大谷評価>

 ◆ホワイトソックス・ナルバエズ(2度の対戦で5打数1安打も9号本塁打を許す)「積極的な打者。外角の遠いゾーンでもホームランにできる。インサイドを続ける必要がある」

 ◆アスレチックス・ルクロイ(2度の対戦で9打数2安打も、メジャー初安打、4月の3連発の3発目を献上)「スイングも素晴らしいし、才能もあるし、プロフェッショナルだ。あんなに大きな選手は見たことないね。スイングも強いし、パワーもある」

 ◆オリオールズ・シスコ(2度対戦。7打数3安打)「かなり良いスイングをしているし、力強いね。素晴らしいアスリートだ」

 ◆ロッキーズ・ウォルターズ(代打で1打席対戦。一ゴロに仕留める)「打席の中で少し笑ったり、リラックスしている。対戦を楽しんでいるように見えるし、ボールもよく見えている」

 ◆ブルージェイズ・マーティン(2度の対戦で7打数1安打も、2試合目の最終回に2死から同点2点適時打を許す)「外角のボールになるスライダーに手を伸ばしてヒットにした。素晴らしい手と目の使い方だ。才能のある選手だとは聞いていたけど、対戦してみて、信じられないくらい素晴らしい才能だと分かった」