パイレーツ筒香嘉智外野手(29)が23日(日本時間24日)、ダイヤモンドバックス戦に代打で途中出場し、新本拠地初の試合、初スイングで今季3号のソロ本塁打を放った。移籍後、18打数6安打(打率3割3分3厘)で長打5本(本塁打3、二塁打2)。ようやく本領を発揮し始めた。

メジャー復帰まで遠回りしたようでも、バットの振り出しは最短距離だった。2-5と3点ビハインドの7回、先頭打者として代打で登場。救援右腕クラークに対し、見逃し2球でカウント0-2と追い込まれた。球審の判定はストライクだったものの、いずれもコースから外れたボール球。それでも、筒香は表情を変えることなく、どっしりと次の1球を待ちかまえた。続く3球目。真ん中付近へ甘く入った95・7マイル(約154キロ)の速球を、弾丸ライナーで右翼席へ運んだ。その後、パ軍打線がつながり、この回、同点に追い付くと、続く8回に勝ち越し。逆転勝ちにつながった。

レイズ、ドジャースと渡り歩き、パ軍移籍が決まった直後、筒香は正面を見据えてはっきりと言った。「(技術的に)大きくは変えていません。マイナーリーグを経験したことで、僕の中でいろいろありますけど、自分がどういうプレーができるのか、自分に期待しています」。現時点で、技術的な修正点は明かしていない。だが、両足を少し開き気味に構え、重心を下げ、体重移動のタイミングを改良したことで、課題とされてきた150キロ後半の速球にも対応できるようになった。この日の1発をはじめ、過去、ファウルになりがちだった球を、完璧に仕留めた技こそ、筒香の新境地だった。

スタメン出場した前日は4三振に倒れたものの、結果を引きずることなく、快音を残した。シェルトン監督は「とてもいいスイングだった。まだ短期間だが、パワーを見せてくれている」と高評価。過去の試練を糧に、着実に前へ進む筒香の姿を見る限り、回り道も決して無駄ではない。