<アスレチックス5-2マリナーズ>◇6日(日本時間7日)◇オークランドコロシアム

 大リーグで2000安打到達が最も速かったのはアル・シモンズだ。マリナーズ・イチロー外野手(35)はシモンズより12試合多い史上2番目の1402試合での節目到達となる。

 シモンズが活躍した1920年代から30年代にかけての大リーグは「打高投低」の流れの中にあった。投手がボールに傷をつけたり、油やつばなどの異物をつけたりする行為の禁止に大リーグが本腰を入れたのは20年。これがチーム防御率2点台が当たり前だった時代から、打者が盛り返す時代への分岐点となる。

 ボールへの細工に頼っていた当時は、現在のように多彩な変化球はなく、規制の強化で打者有利が一気に進んだ。ベーブ・ルースが史上初の50本塁打を記録したのが20年。24年にデビューしたシモンズもその流れに乗って打ちまくった。

 イチローは、そんな時代から半世紀以上を経て大リーグに現れた。シモンズは主軸打者でイチローはリードオフマン。タイプも時代も違う両者の成績を単純には比較できないが、イチローの安打量産はファンに昔の野球を思い起こさせるきっかけをつくっている。

 「世の中の常識を少しでも変える。これは自分の生きがいのひとつ」。そんな気概を持つイチローの、時代を超越したヒット量産だ。