<オープン戦:マリナーズ9-4ロッキーズ>◇14日(日本時間15日)◇アリゾナ州ピオリア

 【ピオリア(米アリゾナ州)14日(日本時間15日)=木崎英夫通信員】マリナーズ・イチロー外野手(34)が、ロッキーズ戦で5年ぶりのオープン戦アーチを放った。前日、連続打席無安打を26で終止符。自ら描いたシナリオをバットで語ってみせた。前日、周囲の不安をなだめすかすように1本の内野安打で、自己ワーストの無安打記録(26)に終止符。次に用意したのは豪華な1発だった。

 6点リードの3回、2死三塁の第3打席。1ストライクから3球ボールが続き、描いたシナリオに現実の状況が重なり合う。

 イチロー「本当は1打席目でっていうのが一番よかったんでしょうけど、それは失敗したんで。なかなか今日はチャンスがないかなと思っていたところにあのカウントであの状況だったんで」。

 相手左腕モラレスが投じた5球目、やや外寄りの速球を右中間に。03年3月29日、レンジャーズ戦以来、オープン戦では5年ぶりの1発だ。

 イチロー「ストーリーからいったら今日はホームランていうのが一番できやすいだろうし。風もよかったし、狙ってたね」。

 まさに狙って打ったアーチには、万端な準備があった。週末で平日の倍以上もの観衆からの視線を受けて、朝の打撃練習では51スイング中4連発を含む今キャンプ最多の19本の柵越え。これがリハーサルだった。

 イチロー「それ(狙った本塁打)をものにしたわけですから、まぁ、ちょっといいわね。感覚がどうとかそういうことじゃなくてね」。

 無安打記録ストップ後は、長距離ヒッター顔負けの一振りの大胆さで魅せた。イチローの調整段階は、本番モードに近づきつつある。