<アスレチックス1-4ヤンキース>◇12日(日本時間13日)◇マカフィーコロシアム

 【オークランド(米カリフォルニア州)12日(日本時間13日)=千葉修宏】ヤンキース松井秀喜外野手(34)が逆転満塁本塁打で自らの誕生日を祝った。今季はここまで満塁の場面で6打数無安打。本塁打も20試合出ていない中、最高の場面でメジャー初の誕生日弾となる今季7号を放った。ジラルディ監督も「これがバースデーボーイの仕事だ」とご満悦の一打で、チームを再び貯金1に戻した。満塁弾は日米通算11本目で、「バースデー祝砲」は巨人時代を含めて3本目となった。

 誕生日に大きな仕事だ。低い打球がグングンと右翼フェンスへ伸びていった。1点を追う6回表、無死満塁。松井はカウント1-1から、それまで無失点投球を続けていた相手先発ブラントンの真ん中高め83マイル(約134キロ)チェンジアップをとらえた。「感触は良かったですけど、ライナー性でどうかなという感じ。でもギリギリ入ってくれました」。フェンスぎりぎりに飛び込んだ打球は、5月18日以来21試合ぶりの今季7号。04年7月25日レッドソックス戦以来、メジャー5本目の満塁弾となった。

 これにはジラルディ監督も大喜び。「バースデーボーイだからな。これが誕生日にする仕事だよ(笑い)。松井はこれまでもずっとクラッチ(勝負強い)だったし、走者がいる時の打撃を知っている。ここで3試合で2勝して、ヒューストンに乗り込める、大きな1打だった」と力説した。

 「逆満塁男」の汚名返上だ。実は監督の言葉とは裏腹に、今季ここまで、満塁で6打数無安打。左手首を骨折した06年以降、満塁では31打数3安打の9分7厘と散々だった。ジラルディ監督が松井を形容した「クラッチ」という言葉とは程遠い成績が続いていた。

 それが誕生日に、久々の本塁打を、しかも満塁でたたき込んだ。試合後の松井は「もっと(本塁打を)ボンボン打つのが良いんでしょうけど…。今日の試合の中では最高の場面で打ったし、これが良い形でつながっていけば良いなと思います」と、珍しく素直に喜びを表した。

 試合前には報道陣から誕生ケーキをプレゼントされた。サンフランシスコの日系ベーカリーによるイチゴケーキ。米国ではあまり食べられない生クリームたっぷりのケーキだ。だが、ろうそくの火を消しただけで「試合に影響するかもしれないから」と言って手を付けなかった。右ひざ手術明けの今季、コンディション維持のために食べ物にまで細心の注意を払ってきた松井らしい行動。試合後は「ケーキを食べなかったのが良かったですね」とニヤリと冗談を飛ばした。

 13日からはヒューストンでの交流戦アストロズ戦。ナ・リーグはDH制がなく、今季は主にDHで出場してだけに控えに回る可能性が高い。それでもジラルディ監督が「満塁ではどんな時でも、自信を持って松井を送り出せるな」というように、この日の活躍で出番が増えるのは間違いない。