「アスレチックス松井」が早くも動いた。経済も動かした。正式契約から一夜明けた15日(日本時間16日)、松井秀喜外野手(36)が始動。入団会見を終えると、その日のうちにアナハイム近郊にとんぼ返り。休みも入れずに打撃練習も含めた精力的なトレーニングを行った。地元紙では2011年のシーズンチケット(年間567ドル~年間1万4175ドル=約4万7630円~約119万700円)500セットの契約更新、金曜チケット(50ドル=約4200円)が600セットが売れるなど、移籍のインパクトは十分だ。(1ドルは84円換算)

 新天地への意気込みにあふれる松井は休んでなどいられなかった。この日午後、2時間程度のトレーニングを行った。室内でのケージ打撃練習場では40分程度にわたってじっくりと打ち込んだ。契約手続きなどで慌ただしかった前日の影響を感じさせることのない、精力的な「ア軍松井」としての始動だった。

 「先頭に立って引っ張る」というチームリーダー宣言を地でいく精力的な行動だった。「4番か5番」とゲレン監督からは中軸としての大きな期待を持って迎えられた。チームの中心としての存在に加えて、何よりも期待されるのは貧弱な打線に与える打撃面でのインパクト。何よりも打つことが期待されている。そうした期待を肌で感じているからこそ、打撃練習にも力が入った。

 メジャー2度目の移籍が正式決定したことで、地元の注目度はさらに大きくなった。オークランドは隣接するサンフランシスコと合わせ、約1万7000人の在留邦人を抱える。集客力でも期待されていたが、早くも効果が表れた。サンフランシスコ・クロニクル電子版はスポーツ面の1面で大きく報道。球団販売部のスティーブ・ファネリーさんの話として伝えるところによると、今週だけで今季の年間指定席保持者のうち500人が来季保持の更新を申請し、入団会見後の15日に販売開始された金曜チケットプランの入場券が1日で600組(トータル入場券2400枚)売れた。昨年の同プランの初日の売り上げは200組(800枚)で、昨年の3倍となる。バラ売り入場券は来年1月29日から発売開始で、さらなる松井効果が期待されている。メジャー移籍後、最低年俸となる425万ドル(約3億5700万円)で契約したばかりだが、ア軍にしてみればわずか1日での大幅な売り上げに「松井効果」を実感しているだろう。サンノゼ・マーキュリー紙も、エンゼルス時代の写真を使用しながら大きく紙面を割いて紹介するなど、地元への波及効果が早々と出た形となった。

 またマリナーズを本拠地で迎え撃つ4月1日(日本時間同2日)の開幕戦を、球団が「ジャパニーズデー」として検討し始めるなど、期待は膨らむばかりだ。