巨人、横浜などで活躍し、昨年6月に現役引退した仁志敏久氏(39)が、野球研究のため世界行脚を計画していることが9日に分かった。最初の訪問国は、中米のドミニカ共和国。1月下旬に日本を出発し、米国以外では最多のメジャーリーガーを輩出する「野球王国」の秘密を探る予定だ。

 仁志氏は引退当時から「もう1度、野球の原点を見直したい」と熱望していた。昨年は通算1591安打という日本での実績をかなぐり捨て、米国の独立リーグに挑戦した。野球発祥の地で、無名の若手とともに汗を流した。新たな挑戦は、世界の野球を自らの目で確かめることだった。

 高校(常総学院)-大学(早大)-社会人(日本生命)と野球エリート街道を歩んだ仁志氏だが、自分とは正反対の境遇に興味を抱いた。ドミニカでは多くの子供が、ヤシの木でつくったバットや古い靴下を丸めたボールなど、満足な道具もない状況で野球を始める。それでも、金の卵を求めるメジャー全30球団が野球アカデミーを設立し、ゲレロ(レンジャーズFA)カノ(ヤンキース)らMLBの好選手を輩出し続けている。

 仁志氏は今後、ドミニカ共和国を皮切りにキューバ、ベネズエラ、プエルトリコなど野球が盛んな国を訪問する計画を立案中。「野球の旅人」となって見聞を広めるつもりだ。