アスレチックス松井秀喜外野手(36)が5日、都内で11年の初打ちを敢行した。自主トレで今年初めてバットを握り、トス打撃で62スイングを打ち込んだ。昨年はコンディションが整わなかったこともあり国内自主トレでは1度もバットを握らず、初打ちは渡米後の2月20日(日本時間同21日)だった。昨年より2週間以上も早い調整ペースで、新天地への準備が整ってきた。

 メジャー9年目に向け、スラッガー松井が動きだした。20日(日本時間21日)のキャンプ集合日まで2週間余り。年明けからは走り込みやキャッチボールなど体作りを中心に自主トレを続けてきたが、いよいよバットを握ってステージを上げた。「情けないけどね。2月のこの時期に初めてバット握るのは」と苦笑いしながら、62スイングのトス打撃で振り込んだ。「まあちょっと確認程度」と準備段階を強調したが、言葉はやはり弾んでいた。

 昨年より2週間以上も早い初スイングは、良好な仕上がりを証明していた。ここ数年のオフは常に両膝の不安がつきまとう状況。昨年も年明けからのコンディション調整に手間取り、打撃練習開始までたどり着かないまま渡米せざるを得なかった。だがこのオフは昨季終了後の11月から米国で精力的に打ち込むなど順調そのもの。ランニングやダッシュも問題なく行っており、松井も「去年に比べればだいぶいい」と手応えを口にした。

 巨人時代から素振りで打撃を作り上げてきた松井にとっては、何よりも振れることが大事となる。「まずちゃんと振れることが確認できればとりあえずいい。技術的な細かいことよりも、ちゃんとした力で振れるということが分かれば十分」とこの日も意義を強調した。準備が整い「打てる体」となったことで、今後も渡米まで継続的に振り込んでいく予定。膝の心配を振り払い、打撃の下準備を国内で完了させられれば、渡米後の調整もスムーズに進むことは間違いない。

 グリップエンドを細くし、ワールドシリーズMVPを獲得した09年型に近い形に戻した今季用のバットも初めて握った。「今のところ全く問題ない。(しっくり)きてますね」と試運転は上々の様子。今季は打撃テーマを「毎試合ホームランだな」と言うほど打棒復活への意欲を高めている。キャンプでも昨年と違って初日からフルメニューを消化できそうなだけに、2月から存分に打ち込むこともできる。新天地で打線の中心を任される松井のバットが、徐々にシーズンモードに入ってきた。【大塚仁】