楽天からFA(フリーエージェント)宣言し、メジャー移籍を目指している岩隈久志投手(30)が27日、Kスタ宮城の室内練習場で早くもブルペン入りした。12年目のオフにして、プロ入り後初めて年内にブルペンで投げた。まだ移籍先は決まっていないが、新天地でのプレーに備え例年よりも早いペースで調整。万全の準備を進めていく。

 岩隈が、おもむろにブルペンへ向かった。ウエート、キャッチボールとこなし、いつもなら練習終了。だが、この日は違った。「キャッチボールの続きですよ。バランスが少しおかしかったから」と説明した。スパイクは履かずアップシューズで立ち投げと、本格的な投球練習とは言えないが、人けのない室内で10球あまり。傾斜のついたマウンドで投げることで、投球フォームを確認した。「感じは良かった。これから強度を上げていければいい」と納得の数分間だった。

 昨オフの初ブルペンは1月18日。2年前は同25日。日本と比べメジャーのキャンプインは半月ほど遅いが、ブルペン入りは1カ月近く早めた。プロ12年目で正月前のブルペンを解禁したのは、メジャーのマウンドへの青写真を描いているからだ。「マウンドも、ボールも変わる。早く投げられる状態にしておいた方がいい」。環境が変われば、投球に何かしら影響があるかも知れない。「向こうで、いろいろ考えなくて済む」ように、早めの準備で先手を打った。

 移籍先はアスレチックスとツインズが有力だが、代理人から契約合意の連絡は「まだ、ないです。早くすっきりしたいですね。年内には」。ただ、焦りはない。「やることは同じだから。年明けに向けての体作り。いかにバランス良く、無駄な力を省いて投げられるか」とテーマを定めた。

 大好きな地元ファンにも約束した。練習後、仙台駅で大震災からの復興祈念イベントに出席。「(移籍先は)決まっていませんが、さらに頂点を目指します。来年、皆さんに明るいニュースを届けられるように、仙台に恩返しできるように頑張ります」と誓った。東北を笑顔にするためにも、地道にトレーニングを続けていく。【古川真弥】