米大リーグのテキサス・レンジャーズと18日(日本時間19日)に6年契約を結んだダルビッシュ有投手(25)が、経営再建中の航空2社を助ける。レ軍本拠地に近いダラス・フォートワース空港と成田空港間では、アメリカン航空が唯一の直行便を運航。同投手の多くのファンがこの便で渡米する見込みで、昨年11月に米連邦破産法を申請した同航空の収入増は確実。2年前に経営破綻した日本航空とのコードシェア便でもあり、両社へのダル効果が期待できそうだ。

 日米の航空2社に、吉報が舞い込んだ。ダラスへの直行便を毎日2往復運航するアメリカン航空は、ダルビッシュを見に行く日本人ファンの利用を見越している。今後は大リーグ観戦をPRするキャンペーンを早急に検討するという。

 日本支社の広報担当は「ダラスを訪れる日本人観光客は少ないので、ダルビッシュ投手の入団は好材料です。この機会にぜひダラスに注目してほしい」と話した。ダラス・フォートワース空港は同航空のハブ(拠点)空港で、全米各地やカリブ海、南米方面へ乗り継ぐ乗客が多い。同広報は「乗り継ぐ際にダラスで1泊すれば、レンジャーズの試合を楽しめます」と提案した。

 米航空3位のアメリカン航空は昨年11月29日、ニューヨークの裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請。人件費膨張などの高コスト体質が響き、事実上の破綻に追い込まれた。その後、コスト構造を抜本的に見直し、通常通りの運航を続けている。同広報は「財務体質を強化中で、倒産したわけではない。安心して利用してほしい」と呼び掛けた。ダルビッシュ効果で同航空の乗客が増え、経営再建の後押しとなることを期待した。

 ダラスへの直行便は、日本航空とのコードシェア便としても知られている。アメリカン航空の機材と乗員を使用しているが、日本航空の便としてチケットを購入すれば、原則として日本航空の収入になる。ちょうど2年前の10年1月19日に経営破綻した日本航空にも、波及効果が期待できる。広報担当は「ダルビッシュ投手に限らず、日本人の大リーグ選手を生で見て、盛り上げていただきたい」と話した。

 テキサス州政府観光局の東京事務所では、国内の旅行会社から観光地を問い合わせる電話が最近、数件あったという。大リーグ観戦ツアーを企画する動きがあるのは明らかで、ダルビッシュはダラス観光大使としても活躍してくれそうだ。

 ◆コードシェア便

 別名共同運航便。2社以上の航空会社が、1つの飛行機を共同して運航する。機材や乗組員を提供する運航業務は1社で行い、残りの社は運航会社から便の座席の一部を譲り受け、自社便の座席として販売。航空会社にとっては自社が運航しない路線や地域であっても、自社便を売り出せるメリットがある。マイレージサービスを提携していれば、乗客がマイレージをためられる機会も増える。