【ピオリア(アリゾナ州)12日(日本時間13日未明)=木崎英夫通信員】マリナーズがメジャー30球団の先陣を切ってキャンプインした。前日11日にはマイナー契約した川崎宗則内野手(30)が、18日から始まる野手組のキャンプに向けて始動。正遊撃手のブレンダン・ライアン内野手(29)に守備練習を「ガン見」され、アドバイスも受けた。

 キャンプ地で初めて動いた川崎に予期せぬ協力者が現れた。マ軍の正遊撃手のライアンだ。打撃のために室内練習場に向かおうとしていたが、守備練習を始めようとした川崎が気になったのか、グラウンドに向かい、ノッカーへのボール渡しを買って出た。

 遊撃の位置に入った川崎が何度かボールをはじくと、声を出した。「ここの芝は打球が跳ねたり沈んだりする。だから失策しても自分を変える必要はないぞ」。昨季カージナルスから移籍し、多湿なフロリダとは違うアリゾナのフィールドを体感したライアンならではの助言。日本からの挑戦者に強い関心があったのだろう。約25分間、遊撃と三塁で計54球のノックを受けた動きを見守った。

 メジャー屈指の名手から練習後にアドバイスと、バットにサインをもらった川崎は「日本から見ていて彼の守備はすごくいいな、素晴らしいなと思っていたので、少し話が聞けて本当によかった。これから少しずつ、彼のいいところを吸収していきたい」と喜んだ。キャンプに入れば、ライアンは川崎にとって強力なライバルの1人になる。「そういう目線で見られるか」と聞かれると「もう、自分のことしか考えていないです。自分のことを精いっぱいやって、楽しんで、もうここに来たら」と話した。

 この日、球団はキャンプ参加全選手の背番号を発表し、川崎はソフトバンク時代の52ではなく61に決定した。「全然こだわりないし。61という素晴らしい番号をいただいて、逆から読んだら、イチ(1)ロー(6)だと」と笑った。時差ぼけは残るというが「絶好調です。30年間、絶不調ないですからね。いつも絶好調!」。気温約27度のアリゾナで、色白の川崎の鼻先はうっすら赤らんでいた。