<オープン戦:ダイヤモンドバックス1-11ジャイアンツ>◇4日(日本時間5日)◇アリゾナ州スコッツデール

 泣きっ面に蜂のデビュー戦にハチ(八)つ当たり?

 ダイヤモンドバックス斎藤隆投手(42)が苦笑いでジャイアンツ相手のオープン戦初登板を振り返った。「今日は全部ハチのせいにしておいてください。その方が何となく収まりがいいみたいな感じがするので」。0-8と大差の6回に「締めてやろう」と意気込むも、先頭打者のゴロを遊撃手が失策。緩慢な守備にも足を引っ張られ、1回を2安打2失点(自責点0)と消化不良に終わった。

 伏線があった。2回、満員御礼の球場がパニックに襲われた。ジ軍が1死二、三塁と先制機をつくった直後、ダ軍のヤング右翼手が血相を変えてブルペンに逃げ込んだ。「(後ろから)尋常じゃない数の音がした。恐ろしかった」とミツバチの大群が球場内に侵入し、ジ軍ベンチの一部を占拠。誰かが「スズメバチだ!」と勘違いし、大混乱に拍車を掛けた。それでも球場職員はBee(ハチ)に引っかけて、ビートルズの「レット・イット・ビー」の曲を流して悪ノリ。幸いにもグラウンドキーパーがキャンディーとレモネードの甘いにおいでミツバチを誘い、安全な場所まで移動させて一件落着した。

 試合は41分間の中断後に再開されたが、ダ軍先発のエース右腕ケネディは降板を余儀なくされた。ハチにトラウマがある斎藤も動揺を隠せなかった。

 斎藤

 子供のころ、祖母の家で寝ていたら(ノドを)刺されて病院に運ばれた。さらに兄弟3人でランニングしている時、3人とも刺された。ハチは確か免疫が下がるらしいから、2回刺されている僕にしてみたら、次は危険ですよ。

 ダ軍投手陣は5番手まで全員が失点を重ねるなど、21安打を浴びる大敗。蜂の巣をつついたような騒動に戦意喪失したのか、赤っハチ(恥)をかいた。【鉄矢多美子】

 ◆ハチ刺されの被害

 最も怖いのが「アナフィラキシーショック」と呼ばれる急性アレルギー反応。タンパク質などの異物が何度も体に入ることで、その異物に対して体の免疫システムが過敏になって起きる急性アレルギー反応。呼吸困難や意識障害を伴うことがあり、血圧低下などのショック症状で死亡することも。日本国内では毎年、スズメバチの襲撃で命を落とす人がいる。ハチ刺されの他にも注射や飲み薬などの無害なものでも原因になることがある。<過去のメジャー虫騒動>

 ◆羽アリ

 00年8月23日、タイガース野茂が先発したマリナーズ戦(デトロイト)は、羽アリなどの虫が大量発生。ブルペンでは虫よけのたき火がたかれた。試合は一時中断したが、野茂は集中力を切らさず7回途中まで4失点と黙々と投げた。

 ◆カゲロウ

 07年10月5日、インディアンス-ヤンキースの地区シリーズ第2戦(クリーブランド)。松井もヤ軍の一員で出場し8回途中まで1点リードも、マウンドにカゲロウの大群が出現。ヤ軍チェンバレンの顔や首筋に張り付き、同投手は集中力を乱されて同点を許した。ヤ軍は延長11回にサヨナラ負けし、このシリーズ敗退の遠因に。

 ◆ハチ

 09年7月2日、パドレス-アストロズ戦の9回、ミツバチの大群が襲来し52分間の中断。左翼付近で球場スタッフが置いたジャケット内に女王バチが進入し、他のハチも密集した。楽天松井もア軍の一員で遭遇した。

 ◆ガ

 カージナルスの主砲ホリデーは昨年8月22日、本拠地ドジャース戦で左翼守備中に右耳の奥深くまでガが潜り込み、痛さに耐えられず途中交代。