<日米親善試合:巨人9-3マリナーズ>◇26日◇東京ドーム

 9回、ネクストサークルで待つマリナーズ・イチロー外野手(38)まで回らず試合が終わると、スタンドから怒気を含んだタメ息が漏れた。この日最後の打席になった8回には、球場一体となって「イチロー」を連呼する拍手が自然発生。あらためて人気ぶりをみせつけた。

 3回無死三塁では二塁ゴロの間に来日初打点。この日は無安打で打席の見せ場は少なかったが、「エリア51」と形容される右翼守備で魅せた。3回は三塁をうかがおうとする坂本の気配を察し、二塁へ矢のような返球。5回1死満塁では右飛に三塁走者・阿部が走るそぶりを見せなくても、代名詞の「レーザービーム」を発動。鋭いハーフバウンドで本塁に返し、満員御礼のファンを驚かせた。「日本社会において卓越した人物。アスリートの域を超え、日本人の中で大切な存在」とウェッジ監督が試合前に語ったように、イチローの輝きだけは健在だった。