楽天から米大リーグ、ヤンキースへの移籍が決まった田中将大投手(25)が大雪による新幹線遅延に巻き込まれた。8日、コボスタ宮城の室内練習場で渡米前最後の練習を行った。その後、午後2時26分に仙台駅を出発したが、ポイントの不具合により東北新幹線が大宮駅手前で1時間停車。結局大宮駅で新幹線を乗り換えるというハプニングに見舞われた。東京駅まで立ちっぱなしで移動するという事態に陥ったが、夫婦で困難を乗り越え約1時間半遅れで東京に到着した。今日9日に日本をたち、11日(日本時間12日)に本拠地のヤンキースタジアムで入団記者会見を行う。

 9日の渡米を翌日に控え、田中は、まい夫人とともに仙台発午後2時26分の東北新幹線で東京へ向けて出発した。久々のツーショットに、仙台駅ホームにいた乗客から「あ、マー君だ!」「まいちゃんもいる!」と声が上がった。新幹線のファーストクラスともいわれる特別車両グランクラスに並んで座り、門出へ順調な滑り出しかと思われた。

 ところが、乗車して1時間が経過したところでアクシデントが起こった。大雪の影響で大宮駅手前でポイント不具合が発生し、約1時間停車し缶詰め状態となった。約1時間後に動きだし大宮駅に到着したが、車両の不具合などで再び止まった。結局、大宮駅から先には行かないことが決定した。眼鏡にマスク姿で終始どっしり構えていた田中も足止めをくらい、上越新幹線に乗り換えることを決めた。大宮-東京間の約30分間は大量のスーツケースとともに、デッキに立ちっぱなしだった。

 この日、午前中にはコボスタ宮城で渡米前、最後の自主トレを行った。午前8時53分に室内練習場に姿を見せ、短いダッシュを数本繰り返した後キャッチボールを開始した。ノックで後ろに球をはじいた時だけ「あー」と声を出したが、日本最終トレは淡々と進んだ。9時30分にはトンボでマウンドを反時計回りにならし、練習場を出ていった。

 本拠地での最後の練習だったが、感慨に浸ることもなく最後まで自分のスタイルを貫いた。「うーん。特にないんですよ。申し訳ないですけど」と正直な感想を述べた。その後も、揺るがず、自分の正直な気持ちを直球で返した。「ずっと日本でやっているんで(アメリカへは)行ってみないと分からないです。生活も野球も、そこでいろいろ直面して、気持ちの高ぶりも出てくるものだと思います」と、未踏の地に過度な期待は抱かず、自然体を目指す。

 今日9日にはいよいよニューヨークへ向け、渡米する。11日(日本時間12日)の入団会見については「英語でやるのかどうかなど、まだ何も決めていません」と、英語でのあいさつにも含みを持たせた。大雪によるハプニングはあったが、“大物ルーキー”が大きな1歩を踏み出すことは確かだ。【和田美保】