<ア・リーグ優勝決定シリーズ:ロイヤルズ2-1オリオールズ>◇第3戦◇14日(日本時間15日)◇カウフマンスタジアム

 【カンザスシティー(米ミズーリ州)=四竈衛】ロイヤルズが3連勝を飾り、85年以来29年ぶりのワールドシリーズ(WS)進出へ王手をかけた。リーグ優勝決定シリーズ(7回制)第3戦が行われ、ロイヤルズ青木宣親外野手(32)は「2番右翼」で先発し、6回に先頭で決勝点を呼び込む中前打をマーク。オリオールズに競り勝った。チームは今ポストシーズン7連勝とし、今日15日にスイープ突破を決める。

 打席へ向かう青木の頭には、安打のイメージがハッキリと浮かんでいた。1-1の同点で迎えた6回先頭。オリオールズの左腕チェンに対し、第2打席まではいずれも二ゴロに倒れた。打たされたのは、ともに「日本時代には投げていなかった」(青木)というツーシーム。内角寄りの同じ球種を「三度目の正直」でキッチリと中前へ運び、勝ち越しの口火を切った。「自分の中で(頭を)整理してから打席に立たないといけないのは分かってはいました」と対応力を見せつけた。

 元中日のチェンとは、日本時代にクライマックスシリーズを含めて打率3割8分9厘と打ち込んでいた。さらに今季はメジャーの左投手に対して打率3割6分3厘をマーク。データ通りに大事な局面で出塁すると、その直後に、ベンチは青木に代えて快足ダイソンを代走に送り、中軸がつながり試合の流れは決まった。

 9月中旬以降、それまでの1番から2番になり、打率が急上昇した。その間、メジャー3年目で初めて日本式のティー打撃を練習に取り入れた。「自主トレの時にやってたような練習に戻してみて、そこから良くなったみたいなのはあります」。米国流に固執せず、独自で工夫する柔軟性こそ、青木の持ち味だった。

 今ポストシーズンは、ワイルドカードゲームから無傷の7連勝。もはや勢いだけではなく、スピードと堅守、さらに盤石の継投で競り合いを制する勝ちパターンが定着し始めた。「チーム力も、集中力も上がってきた。正直、リーグ制覇とか、何とも思っていません。WSに出て世界一になる、優勝するためにやってますから」と、堂々言ってのけた。夢の大舞台まであと1勝。それでも、青木の表情は浮かれるどころか、いつも以上に引き締まっていた。

 ▼ロイヤルズはリーグ優勝決定シリーズ負けなしの3勝でワールドシリーズ進出に王手。7回戦制となった85年以降、初戦から3連勝したのはロ軍で両リーグ10チーム目。そのうち逆転優勝を許したのは、04年ヤンキースのみ。

 ▼ロイヤルズがポストシーズン(PS)7連勝。開幕からの7連勝はメジャー最多タイ記録で76年レッズ、07年ロッキーズ以来3度目。

 ▼ロイヤルズ・ヨースト監督は自身初のPS指揮で初戦から7連勝。PS初指揮で初戦から7連勝したのは、07年ロッキーズのハードル監督以来史上2人目。

 ▼ロイヤルズ救援陣は6回からの4イニングを4投手がパーフェクト投球。PSで救援陣が12打者を完全継投したのはメジャータイ記録で、03年レッドソックス、11年カージナルス以来3度目。