DeNAから戦力外通告を受けた冨田康祐投手(26)が20日、大リーグのレンジャーズからマイナー契約のオファーを受けていることが分かった。9日に行われた第1回トライアウトでは、打者4人に対して無安打投球。視察したレ軍スカウトの目に留まり、獲得打診に至った。PL学園(大阪)では広島前田の2番手で、独立リーグから育成契約で入団。正式な話し合いはまだ行っていないが、高校時代の盟友より先に、米球界入りの道が開いた。

 育成出身の苦労人、冨田の元に海の向こうから予期せぬオファーが届いた。ダルビッシュが所属するア・リーグ西地区のレンジャーズから、獲得のアプローチを受けた。金額など、正式な話し合いはこれからだが、マイナー契約の打診を受けたとみられる。冨田は戦力外を通達された10月3日に、「決して状態が悪いわけじゃない。体も問題ない。どの球団でもいいので、まだ野球を続けたい」と現役続行を希望。日本球界にこだわらず海外も視野に入れ、この日まで練習を積んできた。

 1回目のトライアウトでは最速152キロの直球は142キロ止まりだったが、鋭く落ちるフォークを武器に打者4人を無安打に抑える好投を演じた。また186センチの長身を生かし、スケールの大きな投球スタイルが、視察したレ軍スカウトをうならせた。この日行われた第2回トライアウトにも参加予定だったが、レ軍からオファーを受けたことで、不参加に踏み切った。

 もともと、海外志向が強い。12年オフには約1カ月間、プエルトリコのウインターリーグに参加。現役メジャーも参戦する同リーグで計9イニングを無安打3四球無失点、9三振を奪って自信をつかんだ。ワインドアップでも左足を後ろに持っていかず、プレートの左端付近に引くなど、投球フォームは大リーガーをほうふつさせる。

 冨田の野球人生は山あり谷ありだった。愛知から野球留学で名門PL学園に入学するも、同学年に広島前田がおり、エースナンバーを背負うことはできなかった。青学大に進学も中退。四国IL・香川で才能を開花させ、11年の育成ドラフトでNPBの門をたたいた。2年目の13年に支配下登録選手となり、同8月の巨人戦でデビュー。ただ1軍登板はこの試合だけで、今季は2軍でシーズンを終え、戦力外を通告された。

 今季も150キロを計測するなど、力強い直球はまだ衰えていない。将来的なメジャー移籍の希望を持つ前田より先に、海を渡る可能性が出てきた。<冨田康祐(とみた・こうすけ)アラカルト>

 ◆生まれ

 1988年(昭63)4月24日、愛知県出身。

 ◆高校

 PL学園では3年春の06年センバツに「8番中堅」で全試合にスタメン出場しベスト4。3年夏はエース前田を温存させるため、準々決勝(東大阪大柏原)に先発。2回途中までに5失点KOでチームも敗れた。

 ◆大学

 青学大では1年春の最終週・亜大戦で、リーグ戦初勝利を初先発初完投で飾った。4年時にプロ志望届を提出も指名漏れ。野球部同期のマネジャーは三田友梨佳フジテレビアナウンサー。

 ◆独立リーグ

 11年は四国IL・香川でプレー。後期MVPに選ばれ、同年に育成ドラフト1位でDeNA入団。

 ◆家族

 昨オフに結婚。

 ◆今季年俸(推定)

 490万円。

 ◆サイズ

 186センチ、86キロ。右投げ右打ち。