マーリンズと正式契約を結んだイチロー外野手(41=前ヤンキース)が29日、都内のホテルで入団会見を行い、メジャー15年目の思いを語った。年俸200万ドル(約2億4000万円)の1年契約で、背番号はオリックス、マリナーズ時代と同じ「51」に決まった。会見にはサムソン球団社長、ジェニングズGMら球団幹部が同席。約160人の報道陣と20台を超えるテレビカメラの前で、真新しいユニホーム姿を披露した。

 イチロー

 こんにちは。ただただ、恐縮しております。(球団幹部は)マイアミから18時間かかったそうですけれども、この機会を日本で実現できるということは、通常あり得ないと認識しています。そして、こういう会見は2000年以来になりますが、みなさんに僕がどのように料理されていくのか、という大いなる不安と、みなさんがどのようにうまく料理してくれるのか、という大いなる期待が混在している気持ちです。よろしくお願いいたします。

 -今年、マーリンズでスタートを切る心境は

 イチロー

 まず、球団のやたらに熱い思いが伝わってきて、この思いに応えたいという気持ちが、昨日顔合わせして、話をして大きく湧いてきました。この2年間、欲していたものというのは、これだったんじゃないかなと思っています。選手として必要としてもらえる。これが僕にとっては何よりも大切で、大きな原動力になると思います。

 -通算3000安打に残り156本。数字、記録はどういう位置付けか

 イチロー

 数字はもちろん大切なもの。これがなくては、現役を続けていくことはできない。ただ、それがすべてではない、ということは、はっきりと言える。もちろんチャンピオンになること、節目の数字をクリアすることはとても大事ですが、その目標があるから、という理由だけでプレーを続けるのではない。人は分かりやすい数字、目標を求める傾向にありますが、それは自由であっていい。「人の口に戸は立てられず」というような言葉もあるように、現代ではいろいろな情報が視覚化されて入ってくる。その中では、それを抑えることは難しいので、人がどう思うかは自由であると思います。けれども、僕自身はそれがすべてではない、というスタンスでいます。

 -背番号51にはどういう思いか

 イチロー

 実は、昨晩ユニホームをいただきました。その時の背番号は15番でした。どうしてかな、と思いましたけど、「あ、アメリカは右側通行ですけど、日本では左側を走る」ということで、その解釈もあるのかなと思って(笑い)。15番を今、隠し持っています。ただ、サインを書く時には51と記すことができる。これは僕の本能で、(ヤンキースで)31番になった時に、一番最初に書いたサインは、51と書いてしまったくらい、僕の手は51番を覚えています。無意識下でしっかりと51が書けることは、すごくうれしい。

 -日本の、世界のファンへメッセージを

 イチロー

 これは質問でなくお願いですね。そして一番僕が苦手とすることの1つです。少し考えます。(約15秒後)新しい場所に行って、新しいユニホームを着てプレーすることに決まりましたが、「これからも応援よろしくお願いします」とは、僕は絶対に言いません。応援していただけるような選手であるために、自分がやらなくてはいけないことを続けていくことをお約束して、これをメッセージとさせていただいてもよろしいでしょうか。

 -最も大切にしている自分の哲学とは

 イチロー

 哲学という言葉はとても難しいですけれども…。人間が成熟していく段階というのは、40を超えてからというのは、すごく大きな意味を持つ時期なんではないかな、と思います。(イチローせき込む。2杯目のお茶)

 イチロー

 すみません。恐ろしい質問がくるとせきをする習性がありまして…。ごめんなさい。

 -現役最年長野手として開幕を迎える気持ちは

 イチロー

 (7秒後、せきを1回し)恐ろしいです。野球選手としていやな年齢にきたな、という印象ですね。ただ、大変申し訳ないんですが、僕は41歳です。25歳でも45歳に見える人はたくさんいます。その反対であるように、あることができるように、ちょっとずつ前に進みたいな、と思っています。

 イチロー

 (せきをして)体力の限界がきました。