<ワールドシリーズ:フィリーズ2-2レイズ=6回表終了後、降雨サスペンデッドゲーム>◇第5戦◇27日(日本時間28日)◇シチズンズバンクパーク

 【フィラデルフィア(米ペンシルベニア州)】レイズが土壇場で望みをつないだ。フィリーズの3勝1敗で迎えた第5戦は、1-2と1点を追うレイズが、同点に追い付いた直後の6回表終了後、激しい降雨のため中断。バド・セリグ・コミッショナー(74)の裁定もあり、そのままWシリーズ史上初のサスペンデッドとなり、28日(同29日=時間未定)、6回裏のフィリーズの攻撃から再開されることになった。

 雨天サスペンデッドが決定すると、岩村明憲内野手(29)はロッカー室で力強く言った。「オレたちに風が来ていると思います」。1点を追う6回表。内野安打のアップトンが二盗。続くペーニャの左前打で同点のホームを踏んだ。その6回表終了時点で試合が打ち切られ、翌日に持ち越しとなった。

 もし五回終了時に試合を中断していたら、規則上はフィリーズの雨天コールド勝ちもありえた。

 だがセリグ・コミッショナーの決断でサスペンデッドに。昨年ルールが改正され、表のチームが同点に追い付くか、逆転した場合、その回の途中で試合がストップした場合、同じ場面からのサスペンデッドゲームが行われる。6回表の1点は、本当の土壇場で出た価値ある1点だった。

 何より大きいのは、この試合まで今シリーズ計29打数無安打、15三振と散々だったペーニャとロンゴリアの主砲2人が、それぞれ適時打で打点を挙げてサスペンデッドに持ち込んだこと。マドン監督も「ボール球に手を出していたが、彼らのストライクゾーンで打てるようになってきた」と満足げに振り返った。

 試合開始時点で気温8度。途中からの雨に加え、岩村はロングスパッツをはき、ポケットにカイロ2個を忍ばせる寒さだった。試合後も宿泊していた市内のホテルに延泊することができず、バスで30分かけ、お隣デラウェア州のホテルへ移動。だが、そんな不便さも気にならなかった。

 岩村は「ペーニャとロンゴリアは大いに期待できる。自分は彼らの前で1回でも多く塁に出てチャンスを作ってやることが仕事だと思います」。マドン監督もサスペンデッドゲームの投手起用について「今日、最後に投げていたバルフォアを引き続き投げさせる。第6戦先発のシールズ、同7戦のガーザは投げない」。その目は最終戦までの戦いを見すえていた。【千葉修宏】