<ワールドシリーズ:フィリーズ8-6ヤンキース>◇第5戦◇2日(日本時間3日)◇シチズンズバンクパーク

 負ければ終わりの大事な一戦で、フ軍チャーリー・マニエル監督は「勝利の方程式」を崩さざるを得なかった。8-5と3点リードした9回表。マウンドに向かったのは、抑えリッジではなく、セットアッパーのマドソンだった。1日の第4戦。同点で迎えた9回に救援したリッジは、2死から3点を失い、敗戦投手となった。「マドソンを使いたかった。彼がどうするか、それと今夜はリッジを休ませたかったんだ」。試合後、マニエル監督は、いつも以上に早口で継投の背景を説明した。

 結果は、マドソンが1点を許したものの、2点差で逃げ切った。だが、絶対に落とせないはずの試合で、クローザーを起用できなかった事実は、あまりにも重い。「(登板は)8回終了後に言われた。やっぱり緊張したよ」。思わぬ出番を告げられたマドソンは、率直な心境を口にした。確かに、昨季41試合のセーブ機会すべてに成功したリッジが、今季は42試合中9回失敗し、0勝8敗、防御率7・21。一時的に代役をこなしたマドソンに、大舞台でも頼らざるを得ない苦しさは否定できない。

 仮に、クローザーに任せて負けても悔いはない。ただ、コマを残して負ければ悔いだけが残る。不振の抑えの見極め方。踏みとどまったとはいえ、赤鬼マニエル監督にとって、連覇をかけた残り2戦は、ジレンマとの戦いでもある。【四竈衛】