鳥谷も見とれた大砲が1軍デビューする。阪神の2年目横田慎太郎外野手(19)が27日、1軍に初合流して甲子園練習に参加した。フリー打撃での豪快なスイングにクールな鳥谷がティー打撃を止めて見入る一幕もあった。四国遠征に向けて高知入り。今日28日オリックス戦(安芸)では「1番中堅」での先発が濃厚。「虎のゴジラ」がベールを脱ぐ!

 バックネットに向かってティー打撃を行う鳥谷のバットが止まった。自分のテーマと向き合う主将が練習を一時中断してまで振り向き、フリー打撃に見とれた。視線の先には背番号24。鳥谷の注目も浴びながら、横田は右へ、左へと強烈なライナーを打ち込んだ。58スイングにすごみが凝縮されていた。

 横田 緊張したけれど、やっているうちに普通になりました。いつも通りできました。

 2年目で初めての1軍合流。きょろきょろと周りを気にしていた姿が、ケージに入ると消えた。右の打撃投手を相手に28球を打ち終えるとエンジンがかかった。左投手に変わったとたん30スイングで右翼席へ4発運んだ。左翼へもフェンス直撃の打球を放つなど、持つ力を余すことなく使い切った。同じ左打者で広角打法が持ち味の鳥谷も、うなるしかなかった。

 鳥谷 すごく力があると思いますよ。

 キャンプ前は鳴尾浜での室内打撃を見守った掛布DCが「音がいい。2年目の松井以上だよ」と元巨人松井秀喜になぞらえた。2軍安芸キャンプの宿舎では、夜な夜な掛布DCのマンツーマン指導を受けた。テーマは、ボールに対して振り遅れないフォーム作り。始動の仕方を調整することで、プロのスピードに対応する基盤を作った。成長した打撃は和田監督を「とらえたときの飛距離、パワーはすごいものがある。規格外やな」と夢中にさせた。

 横田 (アピールするところは)バッティングしかない。チャンスをもらったら打ちたいです。

 現在、1軍の外野手はマートン、大和、福留の3人が突出しているが、4番手を巡るルーキー江越、伊藤隼、中谷、柴田らの争いは混迷。そこに19歳の大砲が殴り込む。チャンスはある。2軍での実戦5試合で起用された「1番中堅」で、今日28日オリックス戦に出場。実質的な1軍デビューとなる。

 関川打撃コーチは「ここは力の世界だから。戦力になって欲しいから呼んでいる」と期待を込めた。フリー打撃の衝撃を1軍戦で出せるか。横田にとって初めてのビックチャンスがやってきた。【松本航】