「8回の男」になるぜよ~! 阪神松田遼馬投手(21)が、練習試合オリックス戦で今季初めて1軍戦に登板し、貫禄の投球を見せた。今季の公式戦を想定した8回に登板。1死三塁としてから2者連続三振に斬った。18球すべて直球で押し最速151キロ。福原が故障離脱しており、セットアッパー候補として期待される。

 追い詰められるほどセットアッパーの血が騒ぐ。2点リードの8回から登板した松田は浮足立っていた。久しぶりの1軍戦登板。先頭安達に制球は安定せず四球を与える。二盗を許し、たちまち1死三塁になった。一気にギアをチェンジ。伊藤を追い込むと直球でグイグイ。最後は外角高め150キロで空を切らせた。

 松田 最初は緊張して力んでしまいました。力を抜くことを意識して投げました。あそこは狙って(三振を)取りに行きました。

 こうなれば、一気にフルスロットルだ。イキのいい新人小田には外角低めへズバッと速球を投げ込む。バットはピクリとも動かない。この日は最速151キロをマーク。まだ松田らしい美しいフォームのバランスではないが、それでも剛球を連発し、首脳陣へのアピールに成功した。

 中西投手コーチ 2球目くらいまで緊張していたな。その後は良かった。今日は真っすぐで押していこうということ。(負傷離脱中の)福原どうこうじゃなく必要なピースだ。7、8回…。8回だな。投げてもらいたい。

 過去に2度、1軍の春季キャンプで故障離脱した経緯もあり、今年は2軍安芸発進。この日がようやく1軍初登板だった。それでも、ただのお披露目ではない。シーズン中、抑えの呉昇桓につなぐ8回を任せられるか。適性を試すテストをまずはクリアした。近年「8回の男」としてフル回転していた福原は38歳になり、2月中旬に右内転筋の筋挫傷で離脱した。安藤も37歳。いつまでもベテランに頼れない。

 かつて、阪神のリリーフエースだった藤川(現レンジャーズ)はセットアッパー像をこう語る。「クローザーは経験も大切だけど、セットアッパーは若くて勢いがないと務まらないポジション」。メジャー右腕の理想に合致するのが21歳の松田だろう。若き剛腕もうなずいて言う。

 松田 そういうところを投げられるよう、結果を出したい。そこのポジションを取れるよう、信頼してもらえるようになりたい。

 追いすがる敵を圧倒してねじ伏せる。福原&安藤に松田が加われば救援陣は一気に分厚くなる。機は熟した。将来、リリーフエースになるための第1歩は力強かった。【酒井俊作】