中日谷繁元信兼任監督(44)が「番狂わせ」への自信をほのめかした。今日27日に開幕する兼任監督就任2年目のペナントレースはつばぜり合いに持ち込みたい意向。開幕マスクは松井雅人(27)に託すことも正式に決まった。21年出場し続けたプロ野球タイ記録は断絶するが、後継者を育てながらでも勝負できると判断。京セラドーム大阪での前日練習で、ナインに開幕戦スタメンを伝えた。

 フリー打撃の最後の1球。谷繁兼任監督の打球はきれいな放物線で左翼席へ。これまでも最後に本塁打を狙ってきたが、うまく決まる確率は高くなかった。開幕に向けた長い長い準備を、会心の笑顔で締めた。

 「開幕戦は1年のスタートと考えれば大事な試合だけど、143試合やっていかないといけない。いたって普通の開幕前日という感じですよ。あまり変な高ぶりもないです」

 幾重にも連なった報道陣に淡々と語った。昨年4位から目立った補強がなく、評論家陣による下馬評は最下位予想が大半。それでも確かな自信がある。指揮官は外野の声にあらがうようにポソリと言った。

 「阪神は力はあると思うけど、昨年は1つ負け越し。競った展開をしたい。競ったシーズンに持ち込みたい。1戦1戦、大事にやっていきます」

 兼任監督2年目。昨年から接戦を勝ち切るチーム作りを進めてきた。吉見の復活で先発の駒はそろい、又吉、福谷を中心としたリリーフ陣の厚さは健在。快足亀沢の獲得や、攻走守そろった藤井の起用など、目的は明確だった。選手の「名前」だけで勝負するつもりなど、ハナからない。

 横浜時代から21年間続けてきた開幕マスクを譲ることを正式に決めた。練習前に球場のサロンにナインを集め、開幕戦のオーダーを発表。捕手は松井雅人だ。スローイングは監督より上。総合的にも自分より貢献度は高いと判断した。24度目の開幕マスクと合わせ2つの新記録を捨てるのにも迷いはなかった。

 キャンプから松井雅にはしつこいほど教えを説いてきた。シーズン開幕後も自らの脇に座らせてボヤきまくるつもり。ただ、ベンチから配球のサインは出さない。「グラウンドで感じるものがあるから」。

 阪神、巨人、広島と昨年のAクラスとあたる最初の3カード。「ぶつかっていく。同じようにやっていてはダメ」と開幕ダッシュを誓った。22年ぶりにベンチで迎える開幕の瞬間。信じて、託して、成長してもらう。それが勝利への最短距離と信じている。【柏原誠】