研ぎ澄まされた嗅覚、そして正確なコンタクト。中日小笠原道大内野手(41)が一撃必殺で決勝点をたたき出した。「来た球をしっかり振ること。それに尽きます」と気持ちよさそうに汗をぬぐった。

 追いつかれた直後の8回だ。1死満塁で藤井の代打で登場。投手は青息吐息のマシソンだ。初球から集中していた。内角に食い込む148キロを迷わず引っ張り、一塁阿部のグラブのわずか先を鋭く抜いた。

 「『やった』というのとホッとしたのと半々ですね。連敗を止めて、ホーム開幕戦で勝利をファンに見せられたのでよかった」

 燃えていた。ともに昨年から代打として過ごす時間の長い福田が大活躍。福田は代打の準備の心得を伝授したりと目にかけていた存在だ。「一生懸命やっているのを見ているとね。結果が出るのはうれしい。お手本? いやいや僕はやるべきことをやって準備するだけです。チームが同じ方向を向いていければそれでいい」と笑った。

 3月29日の阪神戦では代打で呉昇桓から痛烈な中前打。そして待望の初白星を導く一打に、谷繁兼任監督は「去年よりもいいんじゃないか」と絶大な信頼を寄せた。磨き抜かれた名刀が窮地の中日を救った。【柏原誠】