ヤクルト打線が、天敵を封じた。0-0の1回1死満塁。5番・畠山和洋内野手(32)が、久保が投じた外角高め直球を振り抜いた。強風に乗った打球は右翼ポール際まで舞い上がり、先制の1号満塁本塁打。「ああいうクイックを投げるタイプは球界に1人。真剣に打ちにいくとこっちがバカをみる。やる気ないように入った。『やる気ない打法』です」。畠山が命名した打法で早々に勝負を付けた。

 5点リードの3回2死一、二塁では大引が右翼線を破る適時二塁打を放った。さらに、4回2死一塁から雄平が右中間への適時二塁打。真中監督も「去年やられている中、ステップを考えて攻略できていた」と評価した。5回までに12安打7得点。昨季、対戦防御率1・80と、かもにされた相手をマウンドから引きずり下ろした。

 個々の工夫が垣間見えた。畠山は、打撃フォームを一変。しゃがみ込むような構えではなく、ゆったりと迎えた。昨季6打数無安打と抑え込まれた山田も試合前の打撃練習から準備した。「あのクイックは本当に嫌です」。通常よりも左足の上げる位置を低くし、タイミングの取り方を変えた。初回の満塁を呼び込んだ左前打は、超高速クイックから投じられた初球の真ん中高め直球を打ち返した。

 チームは今季最多となる15安打8得点で完封勝利。初の2連勝で貯金1を作った。真中監督は「去年負け越している相手から勝てたのは大きい」とねぎらった。久保を幻惑させる七変化の打撃フォームで大きな1勝を挙げた。【栗田尚樹】

 ▼ヤクルト畠山が13年5月17日ロッテ戦以来、通算6本目の満塁本塁打。ヤクルトの満塁本塁打6本は武上四郎、杉浦享の各5本を抜き、球団では(1)池山隆寛10本(2)ラミレス7本に次いで単独3位に浮上した。前日2日阪神戦では山田も満塁本塁打。ヤクルトの2試合連続満塁弾は93年5月18日ハウエル、同19日池山(ともに広島戦=神宮)以来22年ぶり2度目。