日本ハムの勢いが止まらない。西武2回戦で逆転勝ちを収め、6年ぶりの7連勝だ。1点を追う4回1死満塁で新外国人ブランドン・レアード内野手(28)が中前2点適時打を放ち逆転。さらに近藤、中島、田中も適時打で続き、4点を加えて突き放した。もう1人の新外国人ジェレミー・ハーミッダ外野手(31)も3打数2安打。大谷、中田は無安打に終わったが、助っ人コンビが打線をけん引し、4カード連続の勝ち越しを飾った。

 バットをかついだ青い目の「金太郎」が、ヒーローだ。新助っ人レアードが劣勢から一打逆転のチャンスで、ふんどしを締め直した。1点を追う4回1死満塁。フルカウントからの7球目の外角ツーシームを、さらりとさばく。頭をそり上げた、こわもてとは対極の柔軟なミートで中前への逆転2点打。この回、打者11人、一挙6点の猛攻をけん引した。試合前セレモニーの車いすの少年から花束をプレゼントされた。「パワーと勇気もらった。ミンナ、アリガトウ。メッチャ、ツカレタ」。どや顔でお立ち台を締め、悦に入った。

 新顔の強力な「ダブル太郎」の渋いツープラトン攻撃が効いた。チーム内に浸透しつつある愛称はレアードが「金太郎」で、ハーミッダが「竜太郎」。4回、直前の5番ハーミッダが全力疾走でスキを突いた。1死一、二塁で、一塁手メヒアへのゴロ。猛ダッシュをかけた。相手左腕ルブランのベースカバーが遅れてセーフで一塁への内野安打。満塁となりレアードが「打ってやろうという気持ちになった」と意気に感じて決勝打。9連勝した09年7月以来、6年ぶりとなる鮮やかな7連勝へ導いた。

 歩みを合わせて新天地で順調に滑り出し、開幕からの快進撃を支えている。レアードは、オリックスへFA移籍した小谷野。ハーミッダは稲葉氏の引退で手薄になった左の強打者として、懸案だった2つの穴を埋めている。栗山監督が「きちんとした野球ができている。それを生かしていきたい」との好調の要因を体現しているのが2人だ。走攻守に全力プレー。異国でのハングリー精神にあふれた懸命な姿勢が、若手主体の布陣に波及効果は抜群だ。

 開幕から4カード連続勝ち越しは、5カード連続で勝ち越した62年以来、53年ぶり。日本一になった吉兆に、次カード11日からのソフトバンク2連戦(鹿児島、熊本)で王手をかけた。野性味あふれるレアードの好物は「カキフライ」。ややグロテスクな見た目で敬遠する外国人が多いが、へっちゃらだ。「日本のオイスターはなんてすごいんだ。最高だ!」と、むさぼり食べているという。大谷、中田が無安打でも、難敵の西武をペロリと連勝でいなした。優勝候補と評判のホークスを仕留めに-。日本ハムが「ダブル太郎」を従え、いざ九州へ向かう。【高山通史】

 ▼日本ハムが開幕から楽天○●○、ロッテ●○○、オリックス○○○、西武○○で4カード連続勝ち越し。チームの開幕から4連続勝ち越しは、日本一に輝いた東映時代の62年以来53年ぶり。また7連勝は、09年7月15日から7月31日まで記録した9連勝以来6年ぶりとなった。連勝の球団記録は07年の14連勝。