ソフトバンク内川聖一外野手(32)が2夜連続のヒーローになった。2号2ランを含む今季初の4打点。ロッテ・クルーズを抜き、開幕から15試合で16打点と、自己最多だった13年の92打点を上回るハイペースで、リーグトップに躍り出た。今季2度目の連勝で、オリックスには2カード連続の勝ち越しも決定。2位タイに浮上した。

 試合を決定づける1発だった。1点差に詰められた7回。1死一塁から塚原の甘く入った直球を、内川は見逃さなかった。打球は一直線に左翼席に飛び込む今季2号2ラン。3月31日オリックス戦(ヤフオクドーム)以来、11試合ぶりの1発で、4番の責任を果たした。

 「完璧でした。久しぶりの本塁打で、すごく気持ち良く打てた。投手陣もしんどい点差の中で投げてくれていた。何とか突き放さないといけない展開で打てて良かった」

 1点リードで迎えた5回には1死一、三塁のチャンスで左中間への2点適時二塁打。3回には2死一、二塁のチャンスで三ゴロに倒れていたが、次の打席でしっかりと松葉にリベンジを果たした。

 昨年は3番を担ったが、今季は柳田の走力を最大限に生かすため、柳田の後ろの4番を任されている。序盤は度重なる併殺打に「日本記録っていくつなんだろ…」と、苦しい胸の内を口にしたこともあったが、決勝打を放った前日に続き、この日も文句なしの活躍。「4番はチャンスで回ってくるのでやりがいがある」と、喜びをかみしめた。

 今年でプロ15年目。若手時代と比べ、打点に対する認識が変わってきたことが、よりチームプレーにつながっている。「若い頃は、自分が打ったことを単純に喜んでいたけど、今は違う。打点は自分1人で取ったものじゃない。前の打者がチャンスをつくってくれているおかげ」。今季16打点でリーグトップに躍り出ても「チームが勝ったことがうれしいし、打つことで喜んでくれるファンがいるからうれしい。(打点を挙げることで)僕の前に出てくれる人たちの価値を高められたと思う」と、コメントも奥深い。

 工藤監督も「4番として、主将として、自覚を持ってやってくれている。ベンチでも皆に声をかけて明るい雰囲気でやってくれて、心強く感じている」と、全幅の信頼を寄せる。

 最下位にあえぐオリックスから確実に2カード連続の勝ち越しを決め、貯金を今季最多タイの2に戻した。西武と並ぶ2位に浮上し、首位日本ハムとは2・5ゲーム差。さあ、ここから首位どりだ-。そんな号令をチームにかける、4番の4打点だった。【福岡吉央】

 ▼内川の1試合4打点以上は、14年3月28日ロッテ戦(ヤフオクドーム)での4打点以来。通算14度目、ソフトバンク移籍後6度目。自身最多は6打点で、13年5月19日中日戦(ヤフオクドーム)で記録。